長田ノオト『孤島の鬼』
怖さ:☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆
まぁ厳密に言えばホラー漫画ではないのですが、来歴を考えるとホラーとして語られるべき所か。
蒼馬社「オール怪談」で世紀末真っ盛りの98~99年に連載されていたまま、単行本になっていなかった作品。
「孤島の鬼」は勿論江戸川乱歩の小説、何作かコミカライズを手がけており、かつBL作品も描く長田ノオト先生にとっては既にこなれた題材だったことでしょう。
ただ、「長田ノオトのBL」は厳密にはBLでは無いような印象で、関係性ではなく「状況」、しかもその状況には某かの「血腥いもの」が関わって来るもの、を描こうとしているように思えます。エロ、ではなく。
その作風が、乱歩作品唯一の同性愛前面押し出し小説である「孤島の鬼」と、非常によーく噛み合う。
「この世界では僕と君とが全人類なのだ」
という、認められざる性癖者・諸戸の悲哀たっぷりの台詞。真っ暗な世界の描写、キャラクターの悲痛な表情。そしてここに到るまでに降り積もって来た様々な「闇」。ここで「ああホモだな」ではなく、読者に「悲哀を感じさせられるかどうか」、コレだけで長田ノオト先生がこの作品をコミカライズした価値があるのです。
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