2016年10月21日金曜日

伊藤潤二自選傑作集


伊藤潤二自選傑作集
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


☆満点作品です!















奇妙なものへの愛好は水木サンがきっかけで、ホラー漫画へのきっかけは日野日出志先生だと思うのですが、ホラー漫画への愛好を育ててくれたのは、伊藤潤二先生なのだと何となく思います。

作者自身が選んだ印象的な作品9編を収録。
故に、過去作からの抜き出し、ただでさえ「漫画Collection」「恐怖博物館」「傑作集」と、全集じみたものが3パターンも出てる作家なのに、自選傑作集だなんてやめてくれー、という思いもあったのですが、いざ出て、お布施、みたいなノリで買ったところ、やはり非常に面白い。ズルい。

「富江」「双一」「うずまき」「溶解教室」といったシリーズ物・ホラーヒーロー物は勿論作家を応援する者として非常に観たいし、好きなエピソードも沢山あります。
が、伊藤潤二が、ホラー漫画が輝くのは短編。

ビジュアル面で鬼の様な強さを誇る「ファッションモデル」「首吊り気球」「画家」「ご先祖様」が「自選」の中に入っていたのはまぁ自然な流れなのですが、

伊藤潤二ワールド中もっとも不快指数が高いであろう「グリセリド」、
伊藤潤二ワールド中もっとも思考こじらせているであろう「長い夢」(個人的にはベストオブ順潤二)、が漏れなかったのは非常に安心というか、ある程度潤二先生と共有出来ている部分があるんだな、と嬉しくなりました。

また、改めて伊藤潤二作品に学ばされた・再認識したのは
「恐怖と笑いは紙一重である」こと、特に伊藤潤二WORLDにおいては「事象を起こされる側視点に重きを置くことで恐怖作品としている」ということ。
「ご先祖様」なんかも、「うちに入れ」と襲って来るから恐ろしいワケで、「家に迎え入れようとしたら何か分かんないけど彼女がうちのしきたりに従ってくれなくて難しい」だとホームコメディ的珍騒動になっちゃうんですよね。それを読者に視点だなんだと悟らせずに「怖い」と思わせるからこその「伊藤潤二」なんだな、と。

あれ?って思ったけど、俺本当に「怖がってる」?「楽しんで」ない?
「どっち側」から見てる?






















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