2016年12月9日金曜日

日野日出志『地獄変』

日野日出志『地獄変』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆

☆満点作品です!

日野日出志長編。代表的な作品の一つです。

「作者の半自伝的作品」として有名な作品ですが、実際に日野日出志先生が自分の家族・親族に抱いている感情の真偽のほどは分からぬものの、「家族構成」は実際のものと同じようです。

ほぼ大筋を同じくする短編「地獄の子守唄」を、さらに細かく、べったりと描くことで、より濃度を上げたような本作。
何度か同じことを書いてるかもですが、俺がホラー漫画に求めるもの・名作ホラーだと思う定義として
・「圧倒的な異世界(異様な形象)」にもかかわらず
・「現実に限りなく近い(起こりそう)」というギャップ感
を併せ持つ、というもの。

「地獄変」はその細かなエピソードで、ストーリーが進む毎に異様かつ強固な「日野日出志ワールド」を形作っていくのですが、ラストで、嘘か本当か、フィクションかノンフィクションか「分からなくなる」、いや「分からなくすることで限りなく読者の現実へ侵食して来る」のです。
怖い。

個人的には「地獄の子守唄」のラストシーンの台詞があまりに印象強く、トラウマ作品・原風景としては「子守唄」を推すところではあるのですが、「子守唄」、ひいては「日野日出志の作品世界」をより現実世界へ近づける、巨大で、恐ろしいピース、それが「地獄変」だと考えています。




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