2017年6月22日木曜日

関よしみ『飼育病棟』


関よしみ『飼育病棟』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆



☆満点作品です!

関先生のマンガは、「人間の思いが過剰に増幅していって、ありえない状況を作り出す」というある程度の定型があって、なのに、大体どれも胸糞悪く、怖い。というパターン化しているのに作品のバリエーションが限りない希有な作家さん。

文庫化していくつかの傑作集が出ており、どれも遜色無く面白いのですが、この『飼育病棟』に選ばれてるヤツが個人的にエグくてエグくて、トラウマティックなのですよ…。

親友の兄が自分の母を殺したことで憎しみが止まらなくなるも、自身の兄も猟奇的な事件を起こしたことで、一転被害者家族から加害者家族へとなってしまい、止まらぬ憎悪の輪の中に置かれる「憎しみは終わらない」、
想い人の想い人を完コピして、終いには模倣先の女性への入れ替わりを図る「カメレオン女」、
先生の「聖水」にクラスがマッドクラスに変貌する「マッドクラス」、
強盗犯に笑わせることを強要される「笑わせろ!」、
まぁー酷い人間像が描かれる作品ばかりではありますが、
上記の様な「☆満点」にしてしまうのはあまりにも「愛の食卓」の描写がエグくて、なぁ…。

雪山で遭難した兄と父。帰って来たのは兄だけであった。その兄は、食物を摂ろうとすると吐き出す様になってしまう。唯一彼が食べたものは。
…下の画像を見れば一目瞭然ではあるのですが…。我が子に対する父と母の愛の表明の仕方、よく関先生思い付いたな、と初読時に震えました…。「これがほんとの目玉焼きだぞ」ってアンタ…。

愛は、怖い。



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