柴原むかで『悩乱奇譚~ワタシヲミツメルヒトミ~』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
緑の五寸釘編・『孤独』掲載、「刺す!」にてお名前を知った作家さん。
毎日帰宅部を襲い来る鬼部・女に興味を持つ男を毛嫌い、排斥する男子で構成された男の会・突然勉強が出来るようになった坂本から生えて来る坂本の実など、ちょっと間違えるとギャグになりそうな異様な発想力から出て来る世界観は、作者の持つ強烈なネガティヴさが強引に作品の方向性をホラー漫画に差し向けていきます。
「恐怖」よりは「異常」な世界観で、正にこの電子書籍版のタイトルにある「奇譚」の名にふさわしい作品集。
作品各々からも作者のネガティヴさが伺えるのですが、作品の間にインタビューが挟まれており、自己否定の強い方だと印象を受けます。
女性ホラー作家には珍しく、美醜に関しての作品が無いことも、「違う」感じでした。
勉強が出来ない・ただ吐き続ける・人間関係が上手くいかない…。
発想の特異さとネガティヴさにより、柴原むかでの作品は柴原むかででしか読めません。個人的にはデビュー作「残酷な救い」、絵の強烈さもあるんですが、自分の人生が人生によって見張られているという発想が強烈過ぎて、キメの見開きでニヤッとしてしまいました。やられた。
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