西たけろう『狂花草』
怖さ:☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆
病気の父を看病しながら、花屋でアルバイトをして家計をやりくりしつつ、学校に通うかすみ。彼女の家の近所にどこかの国の大使館があり、そこに住むらしい少年の事が少し気になって居るが、彼女の現実は恋に浮かれることを許さない。
ある日、大使館を囲う壁に見慣れぬ扉を見つけ、入ってみると、突如階段は動き出してエスカレーターとなる。
そして、彼女が移動させられた先は、すべからく自動化が為され思考力を失った地上人と、自動機械の動力を担うため暗い地下で労働するために視覚などが退行した地下人と、が分かれて住まう、何万年後もの未来であった。
…ってそれHGウェルズの『タイムマシン』やんけ!!!
薄幸の勤労少女というフォーマットをSFにぶち込んでしまう、という乱暴…アグレッシヴなストーリー。
未来人が思考力を失ってるので、代わりにその社会の問題点への対処をかすみが考えさせられる…という割と重い責務が課せられるのですが、物語は設定・構造を描くに留まり、対処・カタルシスまでには至りません。
まあそのやっつけ感が魅力といえば魅力かな、と。
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