つじいもとこ『迷宮入』
怖さ:☆☆☆
造型:☆
状況:☆☆☆
ホラーハウス・コミックス、つじいもとこ作品集。
収録六作中ホラーっぽいのが五篇。うち二作が個人的に当たりっぽいところ。
表題作「迷宮入」は学生の合宿中の怪談漫画…的作品かと思いきや壮大なコズミックホラーに接続していく作品。状況の不可解さと、極限状況下における人心の変節と、がSFっぽさもホラーっぽさも兼ね備えている名篇です。
また、冴えない日常を送る少年が身近な人間への憧れから悪魔と契約、終わりの無い悪夢へ誘われて行く「撃たれる男」も素晴らしい。超常存在と何らかを引き換えに望みを叶えてもらう、という定型ホラーっぽいフォーマットが、「何を奪われるか」に的を絞る事で、非凡な絶望的エンドに繋がって行きます。
この二篇がホラーとしてもSFとしても素晴らしいのですが、惜しむらくは「著者がショッキングなシーンを真っ向から描かない」また「描かない事を代替する説得力あるシーンが無い」こと。「迷宮入」の冒頭で一見本編とは関係無い...様な首無し死体が登場、中々に恐ろしい思いをするのですが、以降、単行本全部においてもこれ以上ショッキングなシーンは無し。...無いなら無いでも良いのですが、じゃあなぜこれを冒頭に...。
ストーリーはちゃんと面白いのですが、「怖い(グロい)絵が見てえぜ!」というトチ狂っt...ファンキーな方にはちょっと勧めづらい単行本。
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