2026年1月25日日曜日

諸星大二郎、つげ義春「右舷の窓」

怖さ:☆

造型:☆

状況:☆☆

ある宇宙船クルー達の中で、二人組が殺し合いの喧嘩となり、スギという男がヤナギという男を殺した。死体をそのままにしておく訳にも行かず、宇宙空間へ放り出すと、宇宙船の推進力か引力に引かれてか、死体は船の右舷の窓から覗く様な格好の位置へ固定されてしまった。問題しか無い状況ながら、本作の問題点はここから始まる。第三者がこの部屋の中を見る度に、死んだ筈のヤナギが部屋の席に座っていたり、スギが右舷から顔を覗かせていたり、はたまた再度殺し合いを始めたり、それが更に違う人間になったり、と、「誰が死んだのかが不明瞭になり始める」。

つげ義春の原作(この作品読んだ事無い!)を諸星大二郎がリメイク。宇宙・宇宙船が舞台になるのでSFかと思いきや、不条理色の強いサスペンス。犯人探しの方向に行くでも無く、ひたすら事実が曖昧になる不条理な状況の描写は、素晴らしく諸星タッチ向けの作品です。…とはいえ、宇宙船を遠景で一画面に捉える場面は、迫力ある画面の筈ながらどこか気が抜けていて(同誌に星野之宣先生が載ってるので見劣りするのもあるかもしれぬ…)、「ぴったりの作品ではあるけど諸星先生がリメイクする必然性も無く、ちょっと弱い」印象の読み切りでした。

登場人物の名が樹木縛りで、クルー中にツゲさんが出て来るのはちょっと面白い。




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