2010年6月14日月曜日

少年少女漂流記



 乙一と古屋兎丸のコラボレート漫画。新品で買わなくても良かったなぁと思います。
 乙一はジョジョのノベライズ、古屋兎丸はライチ倶楽部位しか読んで無かったのですが、どっちも非常に面白く感じたので、これは絶対面白いぞ!という期待感で読んだのがまずかったのかもしれません。

 「少年少女」と題打ってあるように、8人の中二病類型少年少女達を描く短編集。一応最終話はまとめとして一話に全員集合させてるし、群像劇と言い換える事も出来ます。
 ただ、最後に二人の対談が掲載してあって、「俺達の共通点って中二病だよねー」と書いてあっていらつきました。中二病というのは自意識にのめり込み過ぎ、自分ワールドを形成しちゃう状態を指すと思うのですが、そういったテーマの創作物に作者の意図を感じさせたら終わりです。読者に自分は中二病を俯瞰している事=中二病を上から目線で眺めている、のめり込んで無い人というのを説明しているようなものだからです。

 安直な中二病的を患ったキャラクター達の悩みは確かに深刻なのですが、悩み以外がぺらっぺら。だから感情移入する事も出来ず、作者に意図的に悩みを持たされている違和感を感じさせます。せっかく綺麗なラストなのですが、演じてる感バリバリで、綺麗ごと言いやがって…と思ってしまいます。

 多分読ませる対象が僕の様な現役中二病ではないのでしょう。かといって、過去中二病患った人たちを対象にしたものでもない。中二病の痛々しさをいとおしむ様な描き方ではなく、中二病ってこんな感じだよね、うんうん、という分かり切った(ような)観察者の視点からの描き方では、上記二勢力は納得できない。じゃあ誰を対象にしているのか。
 思うに、作中で主人公達を白眼で見ていた「きもーい」「不思議だよねー」という非中二病サイドが読むと面白い漫画なんじゃないかと思いました。誰しも、様々な思いを抱えています。非中二病サイドとはいえ、死にたい、鬱だという様な事は考えるはずです。そんな時この漫画を読むと、晴れやかな気分になれるんではないかと。あー、こういう事考えてたの自分だけじゃ無かったんだ!と。キャラ造詣の薄さはそういう一時的中二病の雰囲気。

 僕はあんまり好きでは無かったですが、最初に挙げた二作品は本当に面白かったです。ちょっと中二病言い過ぎた。


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