影森奇蝶(白川まり奈)『鬼姫おろち』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
☆満点作品です!
白川まり奈別名義による、ひばり黒枠唯一の作品。古書価において、Akebonoの単行本を超えてます。が、面白さにおいても。
大蛇伝説の伝わる山に登った学生グループ。だが、彼らは大蛇よりも恐ろしい「モノ」に出会うこととなる…。
血みどろな幕開けで始まるこの物語は、とはいえ、そのスプラッタな部分は「部分」に過ぎず、「白川まり奈による創作伝説譚」、この漫画を読むことは新たな神話の創世を見ているような、壮大な物語を読み解いていくことになることを、すぐに読者は理解します。
後年「妖怪研究家」を名乗る白川まり奈先生ですが、その時期には既に漫画を描いておらず、趣味とも仕事とも付かぬ熱量で以て大量の妖怪画を描き残します。
ただ、この『鬼姫おろち』に登場する以下の見開き、それらの妖怪画を超えているんじゃ、と思います。確かに「妖怪が在る」。
妖怪研究という、確かな前提から練り上げられた、「忌まわしき大蛇伝説、実際には何が起きていたのかという考察」からなる物語組み、
妖怪絵師と呼んでも全く違和感の無い、白川まり奈先生にしか描けない、「描き込みまくった妖怪絵と妖怪的な雰囲気を持つ絵」、
それらからなる「白川まり奈漫画」の集大成的作品が『鬼姫おろち』なのです。
ホラーファン・妖怪ファンであれば、いずれ一度は読んでみて欲しいところ。
0 件のコメント:
コメントを投稿