黄島点心『甘露に肩想い』
怖さ:☆造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
奇想ホラーの名手、黄島点心先生による、「怪奇恋愛もの」。
ひっくり返した「恋愛怪奇もの」、愛憎のもつれが発展するサイコホラーとか、もつれて亡くなった人が幽霊化して呪ったり成就したりとか、ってのはホラーのパターンとしてよくあるのですが、意外に「恋愛そのものが怪奇な風を成しているもの」は少ない。
『甘露に肩想い』は正に、怪奇な恋愛が描かれるのですが、
いつもいつも片思いのまま、親友がその想い人を取ってしまうことでエンド、な少女・甘露。彼女の「ピュアそうな雰囲気」に惚れ込んでしまい、ややストーカー気味に彼女のバイト先で働くことにした(彼女に知られること無く)雨郎。
見た目の不細工さも相まって、今まで「良いこと」の無かった雨郎は、甘露に執着する余り、雨の中古井戸に落ちて意識不明の重体に。
死にはしなかったものの、その事件の直後から、甘露の肩には「変なイボ」が…。
まぁ表紙に出てるので言ってしまうと、
「人面疽との恋愛劇」が描かれます。
雨郎は、黄島先生渾身?の以下の1ページを見てもらえれば分かりますが、まず誰に見せても画太郎キャラばりの「気持ち悪い見た目」をしています。
ゆえに彼の恋愛が上手くいくはずもなく…。
3巻掛けて、甘露と雨郎の人間的成長が描かれ、表紙の様な「恋愛っぽい感じ」にはほぼなりません。(ちなみに1・3巻の表紙はやや恋愛劇っぽかったので、敢えて記事には2巻の画像を採択しています)
人面疽というイレギュラーを挟み、二人と周囲の人間の関係性はどのように変化していくか?
個人的には「誰とも共有出来なかった人間が、理解者を得る」という過程を描く物語として中々にグッと来るものがあったのですが、
「怪奇」マンガとしても「恋愛」マンガとしても期待をすべきではないかなぁ、というおとしどころで、amazonのレビュー欄での不満も分からんでもないなー、という感じでした。
奇妙な人間関係を見るのが好き、という変態であれば、満足出来るかと思います。
あと、不振だったのか、3巻は紙書籍が出ず、電子版のみでした…。
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