Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年3月2日木曜日

やすだたく『ミイラが呼ぶ夜』

やすだたく『ミイラが呼ぶ夜』

怖さ:☆☆
造型:☆
状況:☆☆☆



恐ろしげな表紙ですが、最後にちょろっとミイラが出て来るくらいで、ホラー漫画としての要素は弱いです。
が、この漫画、結構オススメ。

冒頭から、鳥をかっ捌く男がじっとりと描かれます。どうやら剥製を造っていたようなのですが、完成品を棚に置くと、男はニタァと笑います。実に厭らしい感じで。

解剖・剥製は一旦置いておいて(!?)、実はこの男、連続少女誘拐犯。
連れ去られた少女との暗い日々が描かれるのですが、この男の目的は殺人でも性的なものでも金銭目当てでも無く。この男は何がしたいのか?そのよく分からん男にどう立ち向かうか?

男の歪んだ精神の描かれ方、そうした精神になってしまった原因。
また、誘拐された少女と誘拐した男のやり取り。誘拐犯の機嫌を損ねぬよう、少女が巡らす策略、誘拐犯に対して委ねるしか無くなる絶望的な状況。

この漫画、最初に書いたようにホラー漫画としては弱いんです。
けれども、非常に「誘拐もの」として、犯人と被害者が上手く書かれていて「怖い」んです。一応鳥の剥製やミイラによってホラー漫画の体を成してはいるものの、「レモンコミックスでも生え抜きの犯罪もの」、です。





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