Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年1月13日金曜日

三条友美『きりきりぎったん』


三条友美『きりきりぎったん』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆ 




☆満点作品です!

いつか読もういつか読もうと思ってるけど読んでない、という小説に、ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズウェイク』と井上ひさしの『吉里吉里人』があります。
どちらも、恐ろしい物量かつ不条理極まりない(らしい)ので、いつ読んでも良いよなと思いつつ尻込みしているのですが、後者は特にその「キリキリジン」という聞き慣れないけれども口にすると心地よい語感を持った造語、ということで頭に残っている、というのがあります。

が、三条先生の作り出した「キリキリギッタン」、そしてこの強烈な作品集を読んだが最後、「キリキリ」と聞いたらその後に続くのはもうジンではなく「ギッタン」を思い出さざるを得なくなります。
勿論語感が気持ちいいんですが、
でも心に着実に傷跡が残る作品集なのです。

個人的には「きりきりぎったん」「死体さん、こんにちは」「友情倶楽部」が割とオシ。
三条先生、女体をおもちゃにし過ぎです!と思っていたら、後発の『寄生少女』はよりソリッドになっててビビリました。

『犬になりたい』がエロ劇画とホラー漫画の分化にやや試行錯誤しているような、少し歯切れの悪さがあったのに比べ、
『きりきりぎったん』は明らかに「ホラー漫画」、しかも悪ノリしており、凄まじい短編集。
が、更にその悪ノリを加速させたのが『寄生少女』。

とはいえ、まずはコイツを手に入れるのが、三条ホラーワールドへの入門編かも、です。


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