Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2021年3月25日木曜日

伊藤潤二『幻怪地帯』

伊藤潤二『幻怪地帯』

怖さ:☆☆☆

造型:☆☆☆

状況:☆☆☆

---------------------------------

☆満点作品です!

伊藤潤二、LINEマンガ連載作品集。「泣女坂」「魔怒女」「青木ヶ原の霊流」「まどろみ」4篇を収録。

あとがきに「年々マンガを描くのがしんどくなってくる、良いアイデアが出ない」と書かれておりますが、いや、こんな変なアイデアをまだこんな出せんのか!と驚くクオリティ。例えば「霊流」はアミガラ断層っぽい、と言えなくもないネタではありますが、その「言えなくもない」というかすり方が絶妙で、ドラえもんにもよくよく考えるとこれ同じじゃね?と言いたくなる効果の道具が出て来たり、星新一の作品で見たことある気がする展開が別作品に現れたり、ということはしょっ中あれど、「見せ方」が都度違うので「作風」としてどの作品も新鮮に楽しめて、伊藤潤二先生も「ある事柄が過剰になっていって手に負えなくなる」という作品の共通項はあっても「結果」「変化」が全く違うので毎度楽しい。「霊流」の変化の仕方も、当初からは予想出来ない奇妙な形になってしまって、素晴らしかったです。

「まどろみ」のアイデアのエグさも豪速球で印象的。

ああ、伊藤潤二先生、いつまでもホラー漫画を描き続けてくれ…と改めて思ってしまう最新作でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿