怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆
「日野日出志」とクレジットされているものの、本文庫シリーズ・蒼馬社の『オール怪談』掲載作、秋田書店『ザ・ホラー』掲載作品は、キャラの顔を見ればお判り?の通り、アシスタントでエロ劇画家・岩越国雄がほぼ描いているのでは、と思われます。
おそらく自分がこのタッチに触れたのは、『学園百物語』が初めてだったかと思いますが、当時は、「日野日出志って書いてあるのに絵も話も日野日出志と違う!!騙された!!」と憤慨しましたが、改めてこの蒼馬社文庫作品なんかを読むと、これはこれで日野日出志作品と違った面白さがあってヨイ。
本文庫表題作は、「DEADMAN」「死肉の男」「死葬の扉 腐乱する男」の主人公を少女に置き換えた、というだけの感じで新規性は無いものの、何となくより痛ましく思います。
6作収録中、個人的には「糞虫」に最も強い印象を受けます。
表題作も救いの無い話ながら、本作はそれにも増してほぼ怪奇要素も無く、ただただ陰惨。糞虫と呼ばれた少女はその生い立ちの悲惨さもあって、習慣や行動も人間的とは言い難く、皆から嫌われ、心が通じた様に思ったただ一人の少女からも嫌われ、祖母の死体の横で息絶える。
日野先生ならもうちょい怪奇要素なり因果なりを作品に持ち込みそうにも思えて、蒼馬社・秋田書店辺りの連載で、どの程度岩越先生が作品の比重を担当していたのか、ちょっと気になるところ。
なお、解説は神田森莉先生で、この文章のトび具合がまた凄まじく、ほぼ漫画と同じノリ。ホラー漫画・神田森莉ファンならこちらも必読。


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