灰野りつ子『ハイエナ少女の血とガッツ 街編』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆
ホラーM末期の作家さんにして、「しびこえ」に先駆けて、巻数表記で無く、〜編表記で各巻が発売、されそうだったのに街編しか単行本が出なかった、悔しい作家・作品。
昭和期のホラー漫画家に比べると、何と無く平成の作家さんは「闇」を描けても「地獄」が描ける・創れる作家さんが希少な印象です。
灰野りつ子さんは、希少な「地獄が描ける漫画家」。
持って来ている絵が丁度地獄絵ですが、そういう具体的な地獄のことでは無くて、「自身が描くのを嫌なモノを、無理して、踏み越えて、地獄を表出させる」感じ。
この漫画の最初のエピソードが、「血を見るのが嫌なラーメン屋の未亡人が、雇い入れた料理人により無理やり肉の血抜き・豚骨を砕くことを覚えさせられる」というもの。
主人公たちは、その未亡人の娘・友人・更にその友人、のその三人柱なのですが、この最初のエピソードが正に「地獄」。
誰しも自分が嫌なモノには向き合い難い、掘り起こし難い。
灰野りつ子さん、多分怪奇なものはお好きなんじゃないかと思うんですが、この「ラーメン屋のエピソード」、血とか臓物とかもしかして嫌いなんでわ?と思わせる、描きっぷり。対象への嫌悪感にしっかり向き合うこと、それが人をも動かす「エグミ」に繋がるんではないかな、と思わせる良作。
変なキャラがいっぱい出て来て、ストーリーの大筋が盛り上がって来そうなところで打ち切り状態。クソッ!