Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2020年2月15日土曜日

速水くろ『此岸の淵より』



速水くろ『此岸の淵より』
怖さ:☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


サブタイトルにもあるように「グロテスク短編集」。
「食宮」の名前で商業人外エロ作家として活動される著者の、グロ用ペンネームとしての初再録本・同人誌。ほぼ真っ当に「リョナ漫画」なのでホラーと同じ俎上で語るのがおかしいのですが、精神的・物理的グロ描写が大丈夫な方なら、SF・ホラー等々としても楽しめる作品集かと。収録8編。

他編と違い加害者が積極的に居ないために異色な「ミーツ」、
天災等の不条理な死を斬新な切り口で見せる「カイジュウガイ」、
タイトルに少し物語の内奥が隠される、竜の肉を売る肉屋の話「竜の肉屋」。

ホラー的意外性は薄く、割とショッキングなシーンが淡々と登場。
けれど、全編に解剖学的真面目さとご自身の性癖への追及が満ちていて、かつそれぞれに「グロ消費のために単発的に作られた感じのしない、奥を感じさせる世界観」を持つ短編ばかり(それが容赦無く破壊されていくのだけど)、良い短編集でした。

            

0 件のコメント:

コメントを投稿