Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年3月3日月曜日

森野逹弥『もがりの首』

怖さ:☆☆

造型:☆☆☆

状況:☆☆☆

水木しげるのアシスタントとして、『最新版ゲゲゲの鬼太郎』では全面的に作画を務め、その他の作品も概ね「水木感」、絵柄・リアクション・間合いに到るまで水木しげる感を踏襲しながらも、水木しげる漫画が「妖怪漫画」になっているのに対し、「怪奇漫画/ホラー漫画」的な志向の強い森野先生の作品群の中でも、かなりきっちり「ホラー漫画」をやっている作品。

不老不死…というか「死ねない」雰囲気を漂わす存在・もがりが、生物としては人間以下の弱々しい空気を纏いながらも、権力や物理に押し潰され恨みを抱えて死んでいく人間の思いを何がしかの怪奇存在に変換して代わりに恨みを晴らしてくれる…という復讐ホラー。

「誰かの恨みを代弁する」という点において若干定型的になりながらも、その水木絵柄による迫力で有無を言わせない画面が形作られていき、ホラー漫画としての説得力のある絵。

『怪奇タクシー』や『漫画巷説百物語』でも似た魅力を滲ませるものの、そちらは「自動車関係縛り」であったり「原作付き」であったりで、本作の自由闊達な雰囲気・ホラー漫画としての面白さは、それらを上回るものかと思います。



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