Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年7月29日火曜日

平田京子『鮮血エコロジー』

 

怖さ:☆☆

造型:☆

状況:☆☆☆

平田京子、電子限定・ホラーM掲載作品集。

個人的にはホラー漫画として絵の魅力・説得力は薄く感じたものの、それを補って余りある作品のアイデアと異常論理の強さがありました。収録5篇中、特に面白かったのは「愛の証明」と表題「鮮血エコロジー」。


「愛の証明」。

亜太郎は自認醜男の上、財力・知力・運動能力に至るまで何も持っていない、と思っている青年。…にも関わらず、たまたま出会った女性・美麗は、ルックスも財力もありながら、自己犠牲的精神を発揮してまで亜太郎に愛を表して来る。自己肯定感の低さから、彼女に不気味さしか感じない亜太郎・そして美麗の恋の結末は如何に。不気田くん初め、「少女ホラーに描かれるブサイク少年/青年」はサイコパスもしくはモンスターとして描かれがちなので、ちょっと新鮮な感覚がありました。

「鮮血エコロジー」。

「やれれば良い」位の感覚で近付いた女性の出してくれた食事にとてつもない美味しさ・愛を感じて、次第に心惹かれていく主人公。彼女の作る料理が、自分の暮らしにとって無くてはならなくなって来た頃、彼はその料理の正体を知る。…タイトルで感の良い人なら気付いてしまう、展開としてはオーソドックスな漫画ながら、彼女の徹底ぶりが近似の作品には無いもので素晴らしい。無駄無く消費せよ!食材に敬意を!




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