ブォッフォッフォッ!
皆様、『ノドの迷路』は購入・お読みになりましたか?久々の単行本。アックスでチョビチョビ読んでたのですが、こんなに旅に行って帰って来たような満足感に浸れる作品とは思わなんだ。素晴らしい。
感動のあまり、唐突に逆柱いみり作品を全レビューし始めようと思います。違う違う!自慢じゃない自慢じゃない!商業単行本・自費出版本の自分が持ってるところ。
原画とかグッズとか単行本未収録なんかもあったりするのですが、ひとまず今回は本だけ。
今に到るまで大好きな漫画は数あれど、今一番好きな漫画家が「逆柱いみり」。いずれ、文章で愛を爆発させたい、と思っていたのですが、ようやく書く時が来た!
ザックリ時代順にいきます。
→せっかくなので売るぜ!と思ったら全然在庫なかった!のでいみり作品に関しては言い値で買うようなヤバイ感じなので、手放すことをお考えの方は是非一度ご相談ください!
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・象魚
短編集ですが、暴力的なほどのリゾート感、敷き詰められた生き物と機械が織り成す異国感。ヤシの木と工場が同じ本の中に同居しているのが自然に思えるのは、いみりさんの作品くらいでは、と思います。
その「生き物」「妖怪」「溶解」「南国」「工場」「機械」「体液」「血痰」の並べ方が、本当に幼児的というか(褒めてますよ)、狙いがない。ただただ、楽しく並べてあるので、読んでるこちら側も楽しいのです。この単行本を最高傑作と評する人が多い気持ちもわかる。
近年の作品は、ある程度狙って不可思議な雰囲気があるというか、「逆柱いみりという流れ」を感じさせる作品が多いのですが、初期作品に関してはもう、ほんっとグダグダしてるんです。
シュール感よりは、シュールギャグ感が強く、台詞もまだ多い。
ただ、『象魚』には本当にデビュー作のヤツとか、ガロ以外の雑誌とかの同年代のもの(望月勝広・望月かつひろう名義の作品等はほぼ単行本未収録!!)は掲載されておらず、今のところは雑誌本体を探しに行く他ない模様。ざっと読んだ感じではありますが、作品単体としてそれらの未収録よりも象魚収録作の方が、何となく印象が強いというか、作品レベルが高い気がします。
常連キャラ「女の子」「一つ目ウサギ」が旅館に泊まっていて、風呂上がり。なんとなくエロスを感じさせる間柄ですが、ウサギが魚の目が足にある、と言ったら女の子がそれを取りたがる。それを歯で取って、酒の肴にする。ウサギが女の子のニキビを潰す。泣き出す女の子。
何が何やらで、微妙に再現出来るこの生々しい気持ち悪さ・触感が、『象魚』の魅力です。
・MaMaFuFu(马马虎虎)
二冊目。詩人・天沢退二郎が新聞にて紹介・絶賛し、知名度が増したらしい。
あったあったまだあった!!
若かりし頃、特に本当に何をするでもなく、ただただネットの海をさ迷い歩くことを日々の楽しみとする膿の様な青春時代、今は「朝目新聞」と名前を変えられたアサメグラフさんの一企画で「ぶそろじ」なるものがありまして、武装錬金のパロディイラスト企画だったのかな?今でこそ一つも残らず元ネタが分かる強烈なサブカル者になって、成り果ててしまいましたが、当時はさっぱり分からぬコアすぎる漫画ばかりがパロディの元ネタとなっており、武装錬金大好き学生の俺は「なんだこのパロディ絵、さっぱり意味が分からんぞ・・・」と遠ざけ気味だった中、何か記憶に残った「ブチ撒け者の海」。
そう、元ネタは『馬馬虎虎』収録の「道楽者の海」。
俺がいみりワールドに出会った、最初の作品です。当時は今よりは大分単行本も手に入れやすかった・・・。
「道楽者の海」。多分思い出補正もあって、短編集ながらこの作品がぶっちぎりで印象深い。
タイトルの意味も分からず、ごちゃごちゃとした街並みの中を走り抜けるスクーター。荷台には一つ目ネコ。ラストまで辿り着くと、荷台から下半身がカニの老人が出てくる。道楽し過ぎで、カニになってしまった、スクーターのおっさんの父だという。おっさんは父を捨てに来たのだった。「すぐ友達もできるよ」といい、父を置いて離れていくスクーター。こちらもとにかくガリガリとメカ・ボロイ建物・得体の知れない生き物が描き込まれた街並み(特に何の必然性も無いのに、ともかく沢山・細かく描き込みが為されています)が魅力的なのですが、ふっ、とそれが途切れるんですよ。その落差が、ズーンと胸に響く。無意味なのに、胸に響く。コレです。
カニになりたい。余談ですがタイトルの「馬馬虎虎」は中国語で「まあまあだよ」というダジャレのような意味合。グニャグニャした本書のタイトルとしても素晴らしい合致具合。
・ケキャール社顛末記
いみりさん初の長編単行本。
「女の子」と「一つ目ネコ社長」のケキャール社が倒産。特に意味もなくインドへ夜逃げすることに。怪しげな一つ目ウサギ商人からインド紙幣を交換、インドへ行く筈なのに行先の分からない変な電車へ乗り込み、変な奴らと乗り合わせ変な旅が始まる。
前2冊と比べると、大分エンターテイメント色が強いです。
まず、「インドへ行く」という大筋のストーリーがあり、怪獣バトル・カーチェイス・借金取りとの確執などの面白要素がそこへ絡みつく。要所要所に「逆柱いみりっぽいアイテム」が散りばめられながらも、大筋のストーリーに沿ってページが進んでいくため、「漫画はストーリーあってこそだろ!」という人でもぎりぎり読み進められる作品。一番手に入れやすい『空の巻き貝』以上に、いみりワールド入門の書として、アリかも。
個人的にはこのカーチェイスシーンが、ヒット映画のいみり流パロディって感じで痛快でもあるのですが、化け物化してしまうヤクザなんかが気持ち悪!って人も要るみたいですね。
300部限定、いみり作品入手最難関。
噂ではありますが、発売時には全く売れず、廃棄、300部現存していないのでは、と…。
後年、俺も結構なお金を積んで手に入れました。悔しい!!
内容は、予約特典CD、いみりさん直筆ポストカード、謎のゲームに使用するコマ・シート、イラストカード、サイン入りの和本「夢之香港旅行」等等…。多分販売価格3000円だったかと思いますが、今なら10冊買う。それほど素晴らしいおもちゃ箱ボックス。
まぁまだプレイしたことはないんですが、和本が極厚ながら収録作品がほぼここのみ。他単行本と被ってるのが多分「道楽者の海」だけだったかと思うのですが、これも雑誌のB5サイズで見れるのは嬉しくて仕方がない。
予約特典CDってのが、これが中古市場に出てくるヤツには含まれてないことが多いんですが、描き下ろしジャケに入ったいみりさん打ち込みによるCDで、現在いみりさんのバンド「漏電銀座」の演奏曲目と結構かぶっているものの、前者は完全打ち込みのため、結構曲の印象が違います。「夢」感が強い。
ひとまず、色々豪華な気持ちを味わえるため、いみりファンは是非何らかの手段で手に入れておくべき箱です。こんな嬉しい箱、他にはないよ。
・ネコカッパ
この単行本だけ、河出書房新社、掲載雑誌は『九龍』。
装丁の他の本とは趣が違い、函入りです。函を取った本体も、函とギャップがあるゴテゴテ具合が素敵。
いみりキャラクターの一つ「ネコカッパ」(多分特定のキャラ名が出るのは初めてでは?)を過分にフィーチャーした単行本で、短編集ながら掲載作はネコカッパが前面に出て来ています。
街中に出て行くと、変な生き物の飼う変なペットと追走劇が始まる話が凄いスキ。一つ目ネコと違い、定形だと思っていたネコカッパが、目からドリルを生やしてスカイフィッシュの如く空を疾駆。
いっぱい喋るし、いっぱい鳴く。
逆柱いみり作品に、怪獣・妖怪的な魅力を強く感じる方は、こちらの作品をベストに挙げるやもしれませぬ。
ともかくネコカッパが無性に可愛くなってしまう本で、ホイホイフィギュアを買ってしまいそうですが、今のところ機会がなく、手に入れられておらず。
・赤タイツ男
ネコカッパに並び、特定のキャラクターが前面に出ることで、本としての印象が強く残る作品。
また、ネコカッパから帯が付くようになったのですが、こちらの唐沢俊一さんの帯文は中々に本の中身を端的に表すコピー、印象的でよい帯です。
「赤タイツ男・伸縮自在」とあるように、表題作は目次絵のように赤タイツ男がバンバン快刀乱麻の活躍を見せる、というものではなく、ただタイツの端っこを引っ張られ、その先がどんどん伸びていく様が描かれるだけ。嗚呼、なんと無意味。
収録作「箱の男」は何故か「道楽者の海」のリライト。後述しますが、流れに大きな変更はなく、ちょっと描き替えてあるものの、なぜに?感のある収録作。
とはいえ、赤タイツ男の活躍(?)を見るためだけでも、手に入れておいた方がイイ、面白い作品ではあります。
・はたらくカッパ
何故か少年画報社の女性コミック誌に掲載されていた作品。
ただ、その甲斐あってというか、エログロ味は他作品よりも薄い。それが作品を薄くしている、ということもなく、イイ感じに幻想味溢れる作品です。
町に就職の面接に向かった女の子・アンヌ(また名前が判明した!)、ひょんなことからカッパの潜水艦「タコブネ」で働くことに。
酒で酔ったり、カニミソトーフでラリッたり、ヘビヤクザなる妖怪に襲われたりしながらも、私は元気です。
結構主人公は酷い目に合っているような気もするのですが、潜水艦で働く大量のネコカッパたちにより、まぁ何が起こっても特に問題ないだろ、とイイ感じの弛緩を与えられ、ヘラヘラ笑って見れます。
ケキャール辺りまでにある、「読むドラッグ」の様なカルト的雰囲気はないものの、
「男湯でカッパが唄っている 庭ではカエルが鳴いている いろいろとあって今日もまた 楽しい一日であった」
と主人公が口にするように、小さい子に見せても問題ない朗らかさに満ちています。もし俺に子どもが出来たなら、ネコカッパとはたらくカッパと藤田和日郎作品をループさせるのです!
・空の巻き貝
最新作に到るまでで、この帯・解説文が一番好きです。
勿論、町田康が好き、ってのはあるんですが、解説がこう、上手く形に出来なかった逆柱いみりの面白さを見事に文章化してくれてる、と言いますか、いや、でも実際は何にも言ってなくて、要はその帯に帯に乗っかってる<なにが重要なのかというと、「行って、帰る」ということである>という一文だけが重要そうな気もするのだけれど、でもとにかく見事に帯・解説文も含めて、作品がストンと納得のいく形になっていて素晴らしい。
でまあ、先述したように、町田康が言うように、これは「行って、帰って来る」という物語。貝に嘗めとられてしまった少年と巻き貝の子どもが二人連れで旅というか。冒険というかお出かけに出るのだけど、「帰るために、出て行く」んですよ。その子どもが見ている世界を、大人の読者が追体験出来るような素敵感があって、そもそも子どもにとっては「おもちゃ」「性」「生き物」「大人の世界」「怪獣」「メカ」「冒険」なんてのは全て端っこしか知らない未知の世界として並列されて眼前に出てくるもので、それに優劣だの強弱なんてのはないので、全部ワクワクの対象なのです。
そのイニシエーション・ジュブナイル的感覚を、漫画によって体験させてくれる、貴重な漫画です。オラ、ワクワクしてきたぞ。
・THE BOXMAN
「赤タイツ男」収録「箱の男」の英語版。
THE BOXMAN(箱の男)のみ収録。
・ネコカッパ
この単行本だけ、河出書房新社、掲載雑誌は『九龍』。
装丁の他の本とは趣が違い、函入りです。函を取った本体も、函とギャップがあるゴテゴテ具合が素敵。
いみりキャラクターの一つ「ネコカッパ」(多分特定のキャラ名が出るのは初めてでは?)を過分にフィーチャーした単行本で、短編集ながら掲載作はネコカッパが前面に出て来ています。
街中に出て行くと、変な生き物の飼う変なペットと追走劇が始まる話が凄いスキ。一つ目ネコと違い、定形だと思っていたネコカッパが、目からドリルを生やしてスカイフィッシュの如く空を疾駆。
いっぱい喋るし、いっぱい鳴く。
逆柱いみり作品に、怪獣・妖怪的な魅力を強く感じる方は、こちらの作品をベストに挙げるやもしれませぬ。
ともかくネコカッパが無性に可愛くなってしまう本で、ホイホイフィギュアを買ってしまいそうですが、今のところ機会がなく、手に入れられておらず。
・赤タイツ男
ネコカッパに並び、特定のキャラクターが前面に出ることで、本としての印象が強く残る作品。
また、ネコカッパから帯が付くようになったのですが、こちらの唐沢俊一さんの帯文は中々に本の中身を端的に表すコピー、印象的でよい帯です。
収録作「箱の男」は何故か「道楽者の海」のリライト。後述しますが、流れに大きな変更はなく、ちょっと描き替えてあるものの、なぜに?感のある収録作。
とはいえ、赤タイツ男の活躍(?)を見るためだけでも、手に入れておいた方がイイ、面白い作品ではあります。
・はたらくカッパ
何故か少年画報社の女性コミック誌に掲載されていた作品。
ただ、その甲斐あってというか、エログロ味は他作品よりも薄い。それが作品を薄くしている、ということもなく、イイ感じに幻想味溢れる作品です。
町に就職の面接に向かった女の子・アンヌ(また名前が判明した!)、ひょんなことからカッパの潜水艦「タコブネ」で働くことに。
酒で酔ったり、カニミソトーフでラリッたり、ヘビヤクザなる妖怪に襲われたりしながらも、私は元気です。
結構主人公は酷い目に合っているような気もするのですが、潜水艦で働く大量のネコカッパたちにより、まぁ何が起こっても特に問題ないだろ、とイイ感じの弛緩を与えられ、ヘラヘラ笑って見れます。
ケキャール辺りまでにある、「読むドラッグ」の様なカルト的雰囲気はないものの、
「男湯でカッパが唄っている 庭ではカエルが鳴いている いろいろとあって今日もまた 楽しい一日であった」
と主人公が口にするように、小さい子に見せても問題ない朗らかさに満ちています。もし俺に子どもが出来たなら、ネコカッパとはたらくカッパと藤田和日郎作品をループさせるのです!
・空の巻き貝
最新作に到るまでで、この帯・解説文が一番好きです。
勿論、町田康が好き、ってのはあるんですが、解説がこう、上手く形に出来なかった逆柱いみりの面白さを見事に文章化してくれてる、と言いますか、いや、でも実際は何にも言ってなくて、要はその帯に帯に乗っかってる<なにが重要なのかというと、「行って、帰る」ということである>という一文だけが重要そうな気もするのだけれど、でもとにかく見事に帯・解説文も含めて、作品がストンと納得のいく形になっていて素晴らしい。
非常に面白い作品なのだけれど、如何せん少年愛・少年射精描写があり、性的えげつなさを感じさせる描写がいくつか。とはいえ表紙に出ているので、何となくイヤだなあと思ったら買わぬが吉なんだけど、そんな軟弱な精神でいみり作品を読むんじゃないよ!みたいなわがまま感も俺の中には在る。
でまあ、先述したように、町田康が言うように、これは「行って、帰って来る」という物語。貝に嘗めとられてしまった少年と巻き貝の子どもが二人連れで旅というか。冒険というかお出かけに出るのだけど、「帰るために、出て行く」んですよ。その子どもが見ている世界を、大人の読者が追体験出来るような素敵感があって、そもそも子どもにとっては「おもちゃ」「性」「生き物」「大人の世界」「怪獣」「メカ」「冒険」なんてのは全て端っこしか知らない未知の世界として並列されて眼前に出てくるもので、それに優劣だの強弱なんてのはないので、全部ワクワクの対象なのです。
そのイニシエーション・ジュブナイル的感覚を、漫画によって体験させてくれる、貴重な漫画です。オラ、ワクワクしてきたぞ。
・THE BOXMAN
「赤タイツ男」収録「箱の男」の英語版。
THE BOXMAN(箱の男)のみ収録。
上が「THE BOXMAN(箱の男)」、下が「道楽者の海」。ほぼ同一のシーンながら、絵が全く違います。
後から出たものの方が、前のものを乗り越えよう・やり直そうとした分、変な意識が入ってしまって、悪い、というのが俺の基本スタンスなのですが、コレに関してはあまりそういうことは言えなくて、上の方は明らかにいみりさんの画力が上がっており、英語台詞もお似合いな感じなのですが、下の方は『马马虎虎』の項で述べたように、ゴチャゴチャとした街並みのシーンから抜け出して、何も無い海のシーンがふっと出てくる景色の落差がより胸に来る画風と言いますか。
剥き出しの逆柱いみり・洗練された逆柱いみり、それぞれに味わいがあるので、単に「重複してる!」と怒り出せない、別々の作品として受け取るべき、ところなのでしょう。ファンとしては。
ちなみに「THE BOXMAN」は特に描き下ろしなどありませんが、絶版になっておらず、普通に買えます。『赤タイツ男』を買い逃した方はご購入をご検討下さい。
というかね、装丁がカッコよいので、赤タイツ男を持ってても買わざるを得ないんではないかと思いますよ。
・Nekokappa
『ネコカッパ』フランス語版。
これもまだ版元からは買えるっぽいですが、amazonみたいに簡単にはいかなそうですね…。俺はフランス語話せないので、怖いデス。
なんか西洋かぶれっぽくてイヤなコメントですが、意外とフランス語といみりワールドが噛み合って、変にイイ雰囲気なんですよね。元々それほど台詞に意味を見出すタイプの漫画でナシ、というかこれもまたいい装丁にしてくれてるので、頑張って手に入れるべきところ、かも。
・臍の緒街道
キターーーッケキャ―――――ルッ
画集です。我執。
ホントは雑誌サイズ以上の大判で見たい絵ではありますが、A5サイズ。
ページ数少ない・サイズちっちゃいなどありますが、驚異・脅威のフルカラー印刷。あの怪獣が、あの車が、カラーでバーンと見れる。もはやこれ以上何も言いますまい。
いや、一言言うなれば、ありがとう、タコシェ。
現時点では店頭でも通販でも買える、はず。
・アックス第100号
アックス、記念すべき100号目。のイラストデザインはいみりさん。
キョッキョッキョ!
このめでたいんだか、なんなんだかよく分からないケイオス具合だけでもう買っちゃって間違いないのですが、
この脳汁ドバドバ出そうな口絵!これなー、原画展で見たんだよ、俺見たんだけどさー、もう売約済みでさー、買えるもんなら是非とも買いたかったよー、だってこんなん見たらさー、朝目覚めた時からもう脳汁ドバ系じゃん?それで1日始まったら素敵な1日確定やん?はー、あわわわ。
という素敵な口絵、そして100号の時は単行本出るかわからなくて怖かった『ノドの迷路』も一話掲載。あと、この表紙絵のポストカードはもしかしたらつげ忠男さんの展覧会行った時もらったやつかもなんだけど、このワンコのはね、青林工藝舎のアイドル・ラッキーさんのやつですね。これは付いてたように思います。
・ニセ京都
京都・トランスポップギャラリーにて行われた同名の展覧会限定販売の漫画冊子。
変な乗り物に乗った二人組が京都(ニセ)をウロウロ。
京都ではモノノケ市・百鬼夜行などが実際にイベントとして行われており、「妖怪と街並み」が共にある姿も違和感なく受け入れられる雰囲気があって、それをいみりさんの手で絵にしてしまったらもう、その辺を妖怪が歩いててもいーよね!とハッピーな気持ちになってきます。
なんかよく分からんゴチャゴチャした街並みの中を、ただひたすらウロウロ。
初期衝動的表現と、洗練された妖怪・怪獣デザインとが合わさって、非常に心地よい内容です。
・続 ニセ京都
・・・まさかまた来るとは、思ってもみなかった見なかったです。
『ニセ京都』でウロウロしていた乗り物怪獣は、多様に存在する乗り物怪獣の一体に過ぎなかったのだ!!!
京都のアチラコチラから姿を現す怪獣(乗り物)たち!!
果たして彼らは何を目指して現れたのか!!→特に理由はありませんでした。
前作では京都と妖怪の一体化、みたいなのがテーマとして見え隠れする感じがあったのですが、本作においては此処にも!あそこにも!!怪獣!!怪獣!!と、景色以上に怪獣デザインの強さが目立ちます。動くさまも楽しめるし、冊子の後半からはデザイン画として掲載。ふふ、実はこの怪獣絵、一枚俺、買ったのです、けどね、ふふ、うふふ・・・。
・ニセ京都 続々
「ニドあることはサンドパン!」
・・・まさか3冊目まであるとは。
イルカに誘われて、迷い込んでいく京都(ニセ)。前二作までが街並みを描く描写が多かったのに比べると、寺社仏閣の中を思わせる景色が多々現れます。
同時期にpanpanyaさんとの二人展をやってたかと思いますが、いみりさんが描く、イルカをはじめとした水棲生物も良いんですよー、のびやかで。
京都と水棲生物。これも斬新な視点で、オルタナ感を感じさせます。
・詩画集 生きてこい沈黙
ヒカシュー『生きてこい沈黙』の詩画集。
おっ、ライム踏んでる!やったー!でもいみりさんの描き下ろしじゃーい!
と思ったら、巻上さんが登場するものの、ほぼ『ニセ京都 続々』と同内容。しょぼん。
ですが、同アルバムの6トラック目「メロンを鳴らせ!ベルーガ」との噛み合いっぷりには心躍りました。
あと、アルバムジャケもいみりさんが手がけていますが、こちらの噛み合いっぷりも実にイイ。状況としてはどう考えても変な絵なのですが、ドントシンクフィール!ですね。
こっちのジャケも大好き。↓
・ノドの迷路(特別版)
「アレっ ノドんとこ変じゃね?」「迷路みたくなってんじゃん」
いみり作品なのに、まさかの1ページ目にしてタイトル回収です。
…いや、よく考えたらこれまでのもほとんどそうだったわ。
『空の巻き貝』が2009年に発売、そして2016年に『ノドの迷路』。
まさかこの間に大学卒業して、会社入って、辞めるとは思わなんだ。待ち望んだ。
友人のノドに迷路が出来たので、保健医に見せに行くと、友人は改造されて怪人になる。元へ戻す方法を求めて旅に出る。
『空の巻き貝』の如く、「無意味から始まる意味への旅」なワケですが、連れ立って行く、というところに何だか大冒険・旅感があって、例えば『ネコカッパ』に入っていた「クルマってえやつを見に行くのさ」で道中にクルマの卵を拾うが如く、みたいな、いや、えー、指輪物語の前進となる『ホビットの冒険』が主人公のビルボに「行きて帰りし物語」と名付けらるるが如く、うおー!行くぞー!という旅の盛り上がりに「連れ立って行く」というのが欠かせん要素の一つだと思うのですが、その盛り上がりの余剰エネルギー的なものが溢れだして、生まれた、本来の旅の目的とは無関係な、無駄だと切り捨てたものにこそ、お宝が隠されているわけで、確たる目的が無くとも行ってみれば何とかなるというか、この物語は「行って、帰る」以上に、「無駄をこそ尊べ」みたいなメッセージが、果たしていみりさんにあるのかどうかは分かりませんが、そのメッセージがジワッと来て胸がジワワです。
でも特に何も考えなくても楽しいので、是非とも夏の間に味わって欲しい、素敵な「旅」。だということを伝えたいがための文章でした。長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
怪人描いてあった!素敵!嬉しい!
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