怖さ:☆☆
造型:☆☆
状況:☆☆
楳図かずおのホラー中編シリーズ「こわい本」の1。
自身の美しさ故に鏡を見るのが好きな少女・絵美。
ナルシスティックな彼女の思いが作り出したのか、昔から家に在った鏡に受け取る力が備わっていたのか、いつしか、「鏡の中の絵美」は鏡を抜け出して存在し始める...。
「鏡像」「真偽」「美醜」をテーマとするほぼ単行本1冊分のホラー。あまり血が出る訳でも、異様な姿の化物が出るでも、鏡の中の絵美がめちゃくちゃに反社会的に振る舞う訳でも無く、ホラーとしての怖さは他楳図作品と比べても弱めながら、「鏡に映った自分は本当に自分だろうか?」「鏡の中の世界とこの世界は別の物では?」という幼少期の恐怖心を引っ掻かれる作品。
10ページ位で終わりそうな短編っぽいテーマなのに、本1冊分の物量になるのがまた、「作家力」という感じ。
ハロウィン少女コミック館版は19ページの短編「谷間のユリ」を併録。これも美醜に関する話ですが、ホラーというよりはイヤミス、見事に誰も救われぬ話。
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