Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年9月24日土曜日

あああああああああああ『マガジンスペシャル 2016年10月号』掲載「Dreams 149話/逆巻く未来」


たまごまごさんがヤバいと仰ってたので、気になって気になって、

・「マガジンスペシャル」なる雑誌をそもそも読んだことが無く(何が連載されてる雑誌か全く知らず)
・「スポーツ漫画」というものにほとんど興味が無く
・「Dreams」をこれまでの人生で一度も読んだことが無かった

けど、マガジンスペシャル2016年10月号を買ってしまいました。

ネタばれ無しでご紹介します。
というか絶対読みたくなると思うので、先に電子版へのリンク貼っておきます。



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ちょっと話が逸れますが、俺はホラー漫画が大好きなのです。で、その何が好きかというと、大きく分けて二つのポイントがありまして、

・自分の見たことのあるものとの恐ろしく隔たりを感じさせる「ギャップ」
・そのギャップがもしかしたら自分の側にあるのではないかと思わせる「自分の現実の境界線を揺らす距離感」

まあ要するに「自分の見たことの無い奇妙なものを見てみたい」、見せてくれる、というのが「ホラー漫画」だったのですが、「今回のDreams」はそうした自分のホラー漫画欲求を満たすものでした。スポーツ漫画なのに

149話「逆巻く未来」。
これだけ見ても何のこっちゃですが、読後にこのタイトルを見ればどんなに恐ろしいタイトルかが分かります。取り返せない過去、にもかかわらず止めることの出来ない時間の進行。おいおい、ダンガンロンパ3 絶望編かよ。

一応自分も辺境の地とはいえ、漫画に関わる仕事をしていた・しているので、「Dreams」という漫画そのものは知っていました。講談社、マガジン(週刊マガジンで連載してると思い込んでいたけど、よくよく考えれば見たことが無いのに単行本が出続けていた、「マガジンスペシャル」なんて答えには辿り着けなかったし辿り着こうともしていなかった)のとにかく巻数が一杯出ているクッソ長い野球漫画だ、と。

Dreamsについても川三番地についても調べようと思ったことが無かったので、知る機会がなかったのです。今回のも、てっきり最終回か何かなのかなー、と。


野球というか、スポーツに対する熱意が全く無いので、本当に最低限のルールしか分かんない・野球というスポーツの面白みが分かってないのですが、究極の論理的野球に攻められて、「〜球投げたら試合終わり!」という数字を掲げられたまま、劣勢に追い込まれている、という屈辱的な状況らしい。

にもかかわらず、敵は更にその球数を減らすという。もうこんなん野球じゃねえ!俺達は戦術の叩き台みたいなものにされてるってえのか!!焦りはする、だがまだまだ闘志は折れぬ、とばかりに試合は続行されますが…。

え、何この無茶苦茶不穏なコマ…。地獄甲子園とか5ヤーダーとかじゃあるまいし、突然殺人野球漫画になったりはしないですよね?ね?
もしかしてBLUE GIANT案件(おそらく10巻に収録される部分)?

…あっ、良かった、主人公生きてる!よーしイイゾー!!まだスポーツ漫画ダゾー!
あー良かった!あからさまに不穏過ぎる変なコマ挟んで来たりするから、ハラハラしたよー!!前述の殺人スポーツ漫画とかに発展すること無く、滞り無く漫画が進んd

えっ。ちょっとあんた何やってんだ、えっ?
「はん(はあと)」じゃないだろ!これ地獄甲子園じゃないんで!!
おまっ、カープ優勝の年に何してくれとるんや!!それ野球じゃない!!

途中で止まれるところあっただろ、違ういやなんかもう全部違う!!
違うって!!じゃけえもうやめえって!この辺でやめにしとかんと戻れん!戻れんけえもう!!これ20年とか続けて来た漫画がこれは違うって!!野球全然好きじゃない俺も分かる、野球漫画が選ぶべき展開じゃないコレ、これタイムリープとかが必要になって来るやつだって!!

ドキドキしたい方、読むしか無いです。一切のネタばれを排除して。
何故俺は、野球好きでもなんでもない俺が、思わず郷里の言葉を吐き出しながらこんなリアクションを取らなくてはならんのか。
そして、この漫画はこのページだけでなく、ラストページに更に畳み掛けを持って来ます。
上に書きましたが、20年以上の長寿連載でコレをやってしまう、こんな風に積み上げたものをぶち壊してしまうと、「漫画のジャンルそのものを変更しなくてはならないのでは」と思わされる恐ろしい展開です。

「ガンダムSEED DESTINY」が前主人公に主役の座を奪われるが如く、『タカヤ』がラブコメから異世界能力バトルにぶっ飛ばされるかの如く、
物語外からの巨大な攻撃を喰らったかの様な展開は、最早寺山修司が描く現実VS虚構の様を見ているような衝撃。「BLOOD-C」に似た衝撃にも思えますが、アレは「終わらせるための物語」であったのに対し、『Dreams』は「終わらなくてはならない物語」。本当は「こち亀」みたいに惜しまれて終わりたかったであろう、いや、終わらせたく無かったかもしれない物語、それも月日という思いの長さ・重さが加わった「終わり」。コレを「書かされた人たち」の心は、大丈夫なのか…?

…あああああああ怖い!!怖い!!!

しかもコレが最終回じゃない、となると、どうやって決着を着けるおつもりなのか、七三太朗・川三番地両先生…。
こりゃあ来月も買わんといけんかも分からんね…。





あと、『はじめの一歩』『絡新婦の理』が中々面白かったのと、
藤田和日郎・平野耕太・中山敦支を想起させる様なドギツイ絵の緩急と、頭で戦う異様なスタイルの格闘漫画『グルグルめがね』、
『坂本ですが』のスタイリッシュギャグ感にノロうとしてんのか?ああん?なんて読み進めていくと、コロッケパンが何故か胸を熱くさせる物語に接続する青春ストーリー(読切)、「コロッケパン戦記」と
に出会えたのは行幸でした。ありがとう、たまごまごさん。ありがとう、マガジンスペシャル。…いや、お礼を言うべきなのか…?

現実を揺らすホラーマンガは、偉いホラーマンガだ。
➼現実を揺らす現実感『リアリティー』

物語を描く事、信じる事。
➼藤田和日郎の描きたかったドラマはココに在る『月光条例 14』




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