Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2019年5月19日日曜日

ハセガワM『マリアの棲む家』

 ハセガワM『マリアの棲む家』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆



☆満点作品です!
…そうか、4月は一度も更新してなかったか。5月も残り少ないけど、程々にがんばろ。
「鮪オーケストラ」のペンネームで長らくギャグ漫画家として活動を重ねて来た著者の、初のホラー漫画作品。

5年前、消えてしまった少女・マリア。彼女の父親から「家の中の何処かに居る筈」という不思議な探索依頼を受けた探偵は、「家」に足を踏み入れる…。

Jホラーだけと言わず、「ホラー」で昔からある一ジャンル、「家ホラー」の系譜の作品、と言えましょう。直近で中島哲也監督「来る!」やダニエル・エレブスキー『紙葉の家』に触れていたので少し重なる感覚もあったのですが、共通する怖さとしては「家」(向こうというかヤツらというか)が何を意図しているか分からない、という所。どんな思考で、どんなパターンで、受け入れられたり攻撃されたりするのか。そもそも主人公を何が襲っているのか。「見えない」のが怖いのです。

本作がそれらの映画や小説と違う面白いポイントは、やはり漫画ならではの「絵」。
ハセガワ先生が描き溜めていたドローイングが編集者の目に留まり、ホラー漫画を描くことを勧められたそうですが、とにかく隙間を埋めよう埋めようとする脅迫的な圧すら感じる、黒くて細密でドロっとした(俺の好きな)画面作りは、物語が付随しなくともホラーです。
ストーリーはシンプルな家ホラーながら、向き合わなくてはならない存在の意味不明さ・画面の異様な濃さから、個人的にもう、満点のホラー漫画です。



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