Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年9月19日金曜日

『まんが残酷日本昔ばなし』

怖さ:☆

造型:☆☆

状況:☆☆☆

近似タイトルのアニメのパロディを狙ったかのようなタイトルのアンソロ、露悪性にあまり変わりは無いものの、20年代現行の『まんがグリム童話』とひと味違う作家陣、まつざきあけみ・伊東倫智・竹崎真実・石井まさみ・佐々木彩乃・稲垣みさお・藤田素子・円山みやこ・神田森莉・空路、の織り成すめちゃひど昔話パロディ集。

・伊東倫智(伊東リンチ)「浦島太郎」。女好き…というか性交依存的な浦島のアレンジは、如何にもレディース漫画っぽくて面白い感じもしますが、それはともかく、老化・瞬間老死する浦島の描写への気合いの入ったタッチ、それだけで「ホラー漫画」が成立しててすごい。

・石井まさみ「鶴の恩返し」。石井先生、自分の知る限りではホラー漫画を3冊出されてますがそのどれもが(描写としても感覚としても)汚い感じで、その感覚を一応古典とはいえ原作アリ作品にぶち当ててしまうのがすごい。羽を啄んで、疲れ・禿げた鶴…はまだ想像出来る方もボチボチ居るんで無いかと思いますが、「鶴は食べると美味しい」ので「首刎ねてちゅーちゅー」って…なんだ!?(ホントなんなんだ!?!?!?)

・神田森莉「一寸法師」。何という露悪!!前述の石井作品は結果的に「穢してしまった」という感じながら、神田森莉先生のこの、「穢してやれ!」の勢い!本当に酷いです。やり過ぎて、全くホラーでは無い、何か酷い、ギャグ漫画と化しています。

どうしても既存の物語をホラー化・露悪化してやれ、という感じで、ホラーとしては却って威力が弱まってる作家・作品の多いアンソロですが、それでも伊東倫智・石井まさみ・佐々木彩乃・稲垣みさお・藤田素子・円山みやこ・神田森莉…といった「あまり単行本化されてない作家」が読める、希少なアンソロかとは思います(ボチボチ単行本化されている作家でも、本アンソロ収録作は概ねココでしか読めないものかと)。


 

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