Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年11月12日土曜日

崇山祟『恐怖の口が目女』


崇山 祟『恐怖の口が目女』
怖さ:☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


昭和カルチャー大好き漫画家・崇山祟さんによる連載まんが『恐怖の口が目女』。
ひばりヒットオマージュなキービジュアルから、もうアツい!!

史群アル仙さんが単行本を出す前後でその存在を知り、マンガや絵を見て、しかもお年を知って、胸が熱くなりました。
「いいもの」は世代を越える、をリアルタイムで目の当たりにしたような感動を。

と同時に思ったのが、「ひばりとかレモンコミックスの影響をもっと前面に押し出した、現行のホラー漫画はないものか?」。
勿論、常々つぶやくちゃおホラーなどは確実にそのスピリットを内に秘めていると思うのですが、あの「単行本丸々描き下し、編集者無し、作者自身も気付かぬその作品の歪み具合がそのまま紙面となった異様さ」を再現するには、「現在の商業誌に掲載されている作品」ではハッキリ言って無理。
もう「ない」ものなのだ、と改めて寂しい気持ちになったりしていたものですが…。

出た!
崇山祟が!!
『恐怖の口が目女』が!!!

正直あんまり怖くは無いです。
いや、でも肝要なのはそこではなくてですね、「マンガの其処彼処に見える、昭和ホラー・昭和マンガへのオマージュ的雰囲気」!

最初は「ひばりパロディギャグマンガかな?」と舐めてかかっていたのです。ごめんなさい。でも、物語が突き進む毎に、何処まで狙って作っているのか?もしくは作者自身も作りながら進化しているのか?
「狙いかよく分からない、ギャグやホラーといったジャンルにまとめ切れない、巨大な不条理の渦」が成立し始め、読む快感を確かに呼び起こし始める…!

パロディ的に切り取っている作家は凡百あれど、ここまできちんと対象に対しての敬意がある作品は他にナシ。まさに、上記の「異様さ」を、意図的ではあるものの(要らんことですが、崇山祟さんは「きちんとホラー漫画」も描ける作家さんです!)、WEB媒体上に再現している!!!

ひばり、レモン、少女漫画、諸星、画太郎(平成じゃねぇか!)…
様々な昭和カルチャーを煮詰めてじっくりコトコト煮込んだ其れ、
其れこそが『恐怖の口が目女』!!

これを書いている今現在、正に連載が終わりかけています。この連載が終わった後、この作品がどういう形態になるかは分かりません。
が、リアルタイムでこのカオスを見られる喜びを噛み締めながら、是非ともこのカオスへ飛び込め!躊躇うな!!



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