森由岐子『魔怪わらべの唄(魔怪わらべ恐怖の家)』
怖さ:☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆☆
「ホラー的魅力には大いに欠けるマンガである」と先に述べておきます。
だって怖くねーんだもん!恐ろしい顔の子どもは出て来るけど、それ以上のものは特にでねーし!
唐沢俊一が出版した『森由岐子の世界』は、本としての出来はともかくとしても、この作品・森由岐子を発掘・再発見したことにおいては多大な感謝を覚えます。
まともに「編集者が居ない」ことで、作家それぞれの能力任せになるのが、芸術的方向へ昇華したのが「ガロ系」ならば、ギャグ・ホラー方向へ昇華したのが「ひばり系」、その黄金定型たる作品がこの「魔怪わらべ」でしょう。
新興宗教の勧誘員の女の子(斬新過ぎるヒロイン像)が勧誘に訪れた家。要らない、と家人の女性が言うにもかかわらず、無理やり居座り、説法を続けること1時間、尿意を感じたヒロインは、トイレを貸せ、と要求。家人は、この家にはトイレが無いので他で借りてくれ、と伝えるものの、我慢出来ないから、との一点張りで女の子は家探しを始める。
「ない!ない!ない!…この家にはトイレがない!!」
まぁ確かに不思議なんだけど、最初から無いつってんだろ!
「生まれてから、あんなに恥ずかしかったことはないです」なんてモノローグを吐きながら野外放尿するはめになるヒロインですが、全く同情する気になれない。
確かにおかしな状況なのですが、ヒロインのおかしさ・非常識さが上を行き、もうちょっと酷い目にあってもいいんじゃ無いかな、くらいの気持ちを読者に起こさせます。
こんな珍騒動から、なんときちんと「ホラー漫画」が始まるんだから、森由岐子先生の凄腕っぷりよ。
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