うめざわしゅん「オソロ」

うめざわしゅん「オソロ」
怖さ:☆☆☆
造型:☆
状況:☆☆


『パンティストッキングのような空の下で』、滅茶苦茶良かったです。
「選ばれなかった僕ら」は決して必ずしも共感を求めてるワケではなくて、「ただ各々に生きてるだけ」が大半。
けれども、どうしても「弱者」であることに対して、「弱くても頑張ってる」みたいなドラマ性を押し付けがちの世の中に中指立てる、サイコーな作品集でした。

が。
前短編集『ユートピアズ』はなんとそれに対して実験的な作品集であることか。
奇想SF的な奇抜な世界設定で以て成立するそれぞれの作品群は、全部ギャグとも全部ホラーとも言えます。
が、「共感の拒み方」、読者とキャラクターのテンションのギャップゆえ、明確に「ホラー」に分類出来る作品が２つ。

の内の一つが「オソロ」。
大学生の向井と久子。良さげ、と思って付き合い始めた向井だったが、初めて男性と付き合うらしい久子は、なんでもかんでも向井とお揃いにしたがる。
身の回りの持ち物や、タトゥーまでは良かったが、ある日黒髪ロングのキレイな髪が、向井と同じ金髪ロンゲになった時、彼女を向井は重荷に感じるようになる。

お揃いであることを求め続けるとどうなるか？
先ほど述べたように「全部ギャグ」とも捉えられるんです。彼氏とお揃いにして喜ぶ女。が、話が「求め続ける」になった時、「お揃いにするという創造」が「破壊」に転じた時。
物語は恐ろしいエンディングを迎えます。

このマンガを教えてくれた先輩に言われなきゃ気付かなかったかも、なんですが、ナンバガ、なんだよなぁ…。