Subbacultcha
「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。
2017年2月23日木曜日
川島のりかず『ガラスの中の醜い顔』
川島のりかず『ガラスの中の醜い顔(ちぎれた首を抱く女)』
怖さ:☆☆
造型:☆
状況:☆☆
川島のりかず、SF。
川島のりかず作品は概ね「SFミステリー」というシリーズ名でまとめられていますが、こちらのタイトルは表紙絵に反してほぼSF作品です。
ロボットが一般家庭でも普通に購入出来るほど、科学技術の発達した近未来。気鋭の女性科学者・美ハルは実験の失敗から、顔に治せない傷を追う。
自分の美貌に自信を持っていた彼女は、恋人にはもう会えない、と絶望し、友人の贈ってくれた恋人と同じ容姿のロボットに対して愛を注ぐようになる…。
「美ハルとロボット」だけならば幸せな物語なのですが、そこに「ロボットと同じ顔を持つ恋人」が居ることでどうしようもない悲劇的な物語が現れます。
自分と同じ形の「モノ」にしか愛を注がない、自分には振り返らない女を思う男。
女が心を注いだことで、心に似たものを持つようになった「モノ」。
自分の世界の視点で凝り固まった女。
報われない「人間」を描かせれば川島のりかずはやはり一級の作家です。
ちなみに『ちぎれた首を抱く女』は内容一緒でジャケも同じなのに、古書価が倍くらい違います。なんでなのか分かりません…古書店がおかしいのか、ホラー漫画ファンがおかしいのか…?
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