Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年4月18日火曜日

猫黒ノミコ「狂気水路」


猫黒ノミコ「狂気水路」
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
☆満点作品です!
週刊少年チャンピオン 2014年32号掲載。
少女が目を覚ますと、そこは下水道の中。何故そこに居るのか記憶が無いものの、足は落ちた時にひねった様でイタミを発していた。下水道、そこは昔、毒液を被った作業員が死亡したのちに「白い人」が彷徨うようになった、といういわくのある場所…。

チャンピオン、ハカイジュウのせいかもしれないんですが、「チャンピオンっぽい(しょうもない)モンスターパニック」が得意な雑誌、という印象なのですが、
俺はホラー大好き、といいつつモンスターパニックがなーんか苦手なのです。モンスターというか、怪獣というかの、「怪しいのに何だか明るいカラッとした感じ」が妙に肌に合わんと言いますか…。そいつらが人を殺そうが喰おうが、ギャグっぽく見えちゃって、なんかノリ切れんのですよね…。

なので、本作もパッと見、「あ、そういうのね」みたいな変な偏見から入ったのですが、いや、全然違ってました。
この「白い人」、案の定すぐに登場し、「白い人」から生き残るパニックもの、っぽい開始の仕方をしておきながら、「そいつは単に物語の部品に過ぎない」、という超ナイス読者裏切り。
で、展開上、「見開き」が発生するのですが、この見開きの使い方が演出としてとてもよくて…。

何かしら「こういう物語がスゴかったよ!」と人に勧める際、見所はココというのは言ったとしてもオチは言わない、何故ならオチも含めた「流れ」に自分が感動させられたから、という自分美学のもと、敢えて以下にその「見開きシーンの一部」を載せてしまいますが、漫画における見開きって、見せ場だったりクライマックスだったりのことが多いのですが、
この見開き、「読者に視覚的衝撃を与えながらも、次のシーンへのスイッチでしかない」、つまりまぁ見せ場っちゃ見せ場なのですが、こんなにど迫力(分かり辛いでしょうが)なのにオチじゃないんです!ここからまだ話が続くんですよ!!!

こんなに見開きに感動したのは、今年の分だと
オガツカヅオ「かえるのうた」・白川まり奈『鬼姫おろち』
と並んでのこと。
もう自分の中で「見開き三英雄」です。決定です。

なお、この傑作を打ち上げながらも、この後に「蠢くニャグラゾテプ」という 集中連載があったのちは、そこから今に至るまで作者の「このペンネーム」での活躍は全く無さそう。
作者の新作が見たい、この作品を本にして手に入れたい…。



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