Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2024年9月13日金曜日

網野成保「木霊」


怖さ:☆☆☆

造型:☆☆☆

状況:☆☆☆

☆満点作品です!

霊能を持つ少女と共に、五人の少年少女が学校で心霊実験を行う。校内に3人が隠れ、霊能少女が一歩も動かず隠れ場所を言い当てる…というものだったが、何故か校内に4人居る...。

収録単行本のメイン作品「巨人真伝トキ」も、素晴らしい切り口の伝奇SFではありますが、ホラーとしての切れ味として見ると、断然「木霊」が面白い作品かと思います。

80-90年代コミックにおける「サイキック」という流行りもの要素を用いながらも、却ってそんな能力が無ければこんな恐ろしい自体にならなかったのに...という道具立ての巧さにも痺れます。

とはいえ、ホラー漫画としての絵の素晴らしさ・作品の怪奇的感覚を十全に発揮しながらも、恐ろしい精度のSF的展望を達成してしまった「リアリティー」こそ、個人的には現状の網野先生の最高傑作だと思います。

現実を揺らす現実感『リアリティー』

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