Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2018年12月10日月曜日

伊藤潤二『うずまき』

伊藤潤二『うずまき』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


伊藤潤二連作短編集。

黒渦町では最近、うずまきが増えている。池の波紋、風に吹かれる煙。桐絵と恋人の秀一は、徐々に奇妙な現象から渦巻きが巻き起こす惨劇へとねじ込まれていく。ワイド版になるに到り、初めて「銀河」という短編が収録されました。

伊藤潤二の連作や長編はどうしても短編のキレの良さを超えることはなく、本作もそうではあります。連作ゆえに主人公たちの最終的な安否が保証されて居たり、続きが待っているがために惰性の様なエピソードが混じってしまったり。
けれども「うずまき」という一単語で牽引していくのに尽きない発想力・どんどん悪い方向に事態が巻き込まれていく物語の力、そしてそれを難なく描写していく伊藤潤二先生の画力に、読む者は圧倒されるはず。

なお、自分が一番印象的というか、嫌悪感がすごいのは「第8話 ヒトマイマイ」。
作品が連載されて居たのは98年頃のことですが、オメガバースなるBL概念が広まり始めるおおよそ10年前に、「いじめっ子といじめられっ子が雌雄同体存在に変異し、雌雄の区別なく交配し始める」というおぞまし過ぎるアイデアを思い付いたばかりか、それを絵にしてしまう、というね…。


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