Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2019年12月19日木曜日

グラント・モリソン、デイブ・マッキーン『バットマン:アーカム・アサイラム』

グラント・モリソン、デイブマッキーン『バットマン:アーカム・アサイラム』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆



☆満点作品です!

あまりアメコミ・BDに食指が動かず見逃していましたが、これは読んだ方が良かった。凄い。

ヴィラン、ジョーカーとトゥーフェイス位しか分からない、超絶バットマン受容弱者なのですが、そんなことは全く関係無く、「恐怖・狂気との対峙の物語」として強く普遍性があるので、「バットマン」を事前知識として持っておく必要はほぼ無し。

主役として映画も製作された人気ヴィラン・ジョーカーがバットマンに贈った、狂気の精神病院巡り。これは映画よりも、「自分で進行スピードを選べるメディア」、本かゲームが絶対に面白い。

「バットマン」は個人的にマーベル・DC抜きにして、スーパーマンと二大巨頭の「象徴的ヒーロー」の様な感覚、つまり、「どんなにピンチでも物語上の展開に過ぎない」し、基本「登場したら勝ち」の、「ヒーロー装置」(ヒロアカにおけるオールマイトだったりワンパンマンだったり)だと思っていたのですが、
「本作におけるバットマン」はラヴクラフトの人間キャラや初期バイオハザードの主人公等「受容者の代りに直接恐怖を受ける」キャラでしかない。シリーズ通して、異様な立ち位置。
バットマンが作中で何をされるのか、またその描写を通して読者がどんな恐怖を受けるのか、展開も心情・信条も全く読めず、「ホラー」「漫画」で以って、「文学」的強度を持ち得る大傑作だと思います。


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