Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2022年3月11日金曜日

曽根富美子『わたしが殺した男』

曽根富美子『わたしが殺した男』

怖さ:☆☆☆

造型:☆

状況:☆☆☆

ショッピング中毒になって借金を抱え込み、夫・娘から苛烈な糾弾を受ける女性。彼女の異様な人格はどのように形成されたのか。

不可解な状況で遺された首無し死体。この死体は何なのか。全く関連の無い二つの事象が、何故並べて描かれているのか。

特段怪異存在は登場しない、ミステリ、サスペンス作品。

「描かれているものの酷さ」は他作と大きな差異がある訳ではありませんが、電子化・復刊で作家再評価のキッカケになった「親なるもの」を始め、他作にはその酷さを描き表すことで批判をしようという曽根先生の視線が見えるのに対し、本作はいわば「ツッコミ不在のまま延々行われるギャグ」の様に、「これを描くことでこの構造に光を当てる」みたいな感覚が皆無のまま延々悪い状況が増幅していきます。レディコミ悪ノリ、というか…。

以前、元ひばり作家のなかのゆみ先生が最近のレディコミ誌にも描いてるのを見つけて読んでみたら、バケモンや血やらが出る訳でも無いのに、まぁーエグい。基本的に世に出る創作物は「作家が何を描こうとしてるか」が作品の最大要因になる、と思ってましたが、商業作家においては「どこで描くか」も大きいものなのだな、と思わされました…。


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