Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2024年9月19日木曜日

カラスヤサトシ『おとろし』

怖さ:☆☆☆

造型:☆☆

状況:☆☆☆

ギャグエッセイをメインフィールドとするカラスヤサトシによる、ホラー漫画短編集。

1作6ページの極小短編ですが、その「短さ」をカラスヤ先生が描き続けて特化作家になっているのか、痺れるホラーアイデアを見事に6ページで起承転結に押し込んで、時に恐怖へ・時に不条理へ振りつつ、全てがキレッキレに仕上がっている、極上の作品集です。

ただ、ホラー漫画短編集として傑作ながら、カラスヤ先生が本名で出したデビュー短編集『石喰う男』、こちらは決してホラーを志向した作品集では無いものの、おそらくかなり強く「シュール」が念頭に置かれ、結果としてホラーになってしまっている作品、がいくつか収録されています。それはもしかするとカラスヤ先生の若さ、だったのかもしれませんが、異様にグリグリと描き込まれた画面は、より「ホラー」を描くのに適した絵柄だった...というのを比較すると、本作の「怖い絵」以上のものがもっと描けるんでないか…?と思ってしまったり。

とはいえ本作・次回ホラー作品『いんへるの』、いずれも傑作ホラー漫画集ではあるので、作家で手が伸びてなかった人は今からでもすぐ入手を。


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