Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年10月10日月曜日

今井康絵『見てはいけない』


今井康絵『見てはいけない』
怖さ:☆☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆

「ホラー漫画という流れ」はギリギリ平成の、2010年を越した10年代においても生き延びていて、いわゆる「モンスターパニック」でも「デスゲーム」でもない、きちんとホラー漫画を出して来てくれるレーベルとして「ちゃおホラー」というのがあります。

言わずと知れた少女漫画雑誌「ちゃお」。
他の少女誌に比べると少し年齢低めを狙っている、という印象の雑誌ですが、もしかすると作家さんたちも少し年齢低めを狙って怖いのを描く!と意気込んでいるのか、たまに「すごく変なこと」になっているのが、この「ちゃおホラー」というレーベルの魅力。

上記に挙げたモンスターパニック・デスゲーム、もしくは実話ホラー、という「ちょっとホラー漫画としてはハズレ」ラインの作品も勿論あるのですが、
「少し年齢低めを狙って描こうとするとどうなるか」、エロ・スプラッタ抜きで怖いのを描こうとすると、変な魅力を持った作品が産まれる!の成功例の一人が今井康絵先生。

本作でも、確かに成功している作品があって、

まずは表紙絵に採用されている「顔」。どんな手段か分からないけど、皆が美人に!?と思いきや「皆美人→同じ顔になる」というまるで某国の整形手術を揶揄するかの様な面白展開に。オチも読めそうで読めない逸品!
と「心霊写真」。本物の心霊写真を撮りたい、という奇妙奇天烈な願いを持つ少女。死体を求めて歩いていると…!

極限状況(面白状況)に追い詰められた人間が見せる、本性の浅ましさ。
それだけ書くと関よしみ的な雰囲気がありますが、そこに持って行くための小道具として現れる脅威のモンスター等でこちらの予想を裏切っていく様は、川島のりかず的でもあります。

勿論人間が作るモノ、今井康絵先生とて描かれる作品が全て極上ホラーという訳にはいきません。ただ、ひばり書房やホラーM等のよりも幼年層をターゲットとすることで、それらよりもキツいルールの中で戦わされる「ちゃおホラー」。その魅力を知るための一歩目として、「今井康絵」作品は是非とも入り口として頂きたいところ。

ちゃおホラーについての話はまた。


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