Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年10月15日土曜日

蕪木彩子『ストレス〜悪魔の実験〜』


蕪木彩子『ストレス〜悪魔の実験〜』
怖さ:☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆

ホラー漫画において、人気作家・人気キャラとなるには必然的に特定の主人公の居る「連作短編集」、例えば『エコエコアザラク』『愛しのモンスター』『不思議のたたりちゃん』等の形態に移行しがちで、確かにこうすると「キャラクターへの思い入れ」で読者に好かれはするのですが、一方で、一つのテーマに沿って話を進めないといけなくなり、内容的には「やればやるほど薄まっていく」という諸刃の剣、特にホラーという「びっくりさせること」が大事な要素となる分野においては、結構大きなキズになってしまうことも。
残念ながら、神田森莉に続く90年代ホラースプラッタ漫画の名手・蕪木彩子先生におけるこちらの作品も、その作品群においては少し印象が薄まってしまった作品。

「ストレス」を専門領域とする若き医者「夏木昌也」。
彼の研究に対する熱意は本物だったが、それは「本物」過ぎたのだった…。

印象が薄まってしまった、とはいえ蕪木彩子。
「なんでそんなことで、そんなことにまでなっちゃうの!?」
というスプラッタシーンへ接続するための論理の飛躍は、神田森莉よりもクールかつ大胆。
また、シリーズ作品であることで、逆に「いよっ!待ってました!」とヤジを飛ばしたくなる「お約束感」は加速していきます。

ストレスを解消すれば大体の人間は救われる!→人間を救うために人間を使おう→実験失敗、死亡or暴走
このテンポの良さ、正にストレス解消にイイ感じの漫画、と言えます。


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