Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年1月29日日曜日

まちだ昌之『毒蛾少女』


まちだ昌之『毒蛾少女』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆

ひばり黒枠、まちだ昌之長編。

何かを研究している父、
顔に痣があり妹に苛烈な姉、
そんな姉に健気に従う妹、
そして心を病み地下室に幽閉される母。
奇妙な四人の家族は、常に不穏な空気とともに暮らす。

まちだ昌之先生は、エグミのある人間描写でひばり一線級の作家さんです。
死から逃れるために友人を犠牲にする・自分が生き残るために人の肉を喰らう・恋敵の妹を痛めつけまくる、等。
本作ではこの奇妙な家族、家族とは何なのかを何となく問題意識として掲げながら、娘のうちの片方が、悪しき研究により「毒蛾少女」となってしまう姿が描かれます。

「毒蛾少女」となったことに対する悲哀みたいなものは全く無い、もう単なるモンスターホラー、言ってしまえばザ・フライよりもジェイソンとかの方が近いレベルなのですが、そこに忌まわしい家族関係が加わって来ることで、作品に横溝的な鬱蒼とした空気が漂います。

「毒蛾少女」が割にノホホンとしているというか、まぁ鬼気迫って無くも無いのですが、なんか「気にする所そこ!?」と突っ込みたくなる部分が怖さを薄れさせるのですが、とはいえ、この忌まわしさと、毒蛾少女のデザインセンス、そしてこの「あ、これはヤバいマンガだ」と一目で分かる格好良過ぎる黒ひばり表紙は、紛れも無い良作の貫禄。

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