Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2010年6月5日土曜日

京都旅行紀その壱

 京都に住んで居ながら旅行記もあったもんじゃないですが、昨夕の事です。
 休日と言えば十二時間位引き篭もるか、外出するかという極端な行動原理があるのですが、引き篭もっておりまして、よし、夕飯の買い出しついでに付近を散策しよう、と思い立ったのです。
 部屋を整理したいという思いも重なり、ティッシュケースとかなんかいっぱいポケットの付いた壁掛けみたいなのが欲しくなり、雑貨屋を探す事にしました。
 家が金閣寺周辺なので、大学も近くにあるし、隠れた名店のようなものがあるんじゃないかという期待があったのですが、もう全然無い。立命館・佛教大学と二つも大学がほぼ同じ地域にありながら、なんで雑貨屋如きが無いの?ビレッジヴァンガードを多用して、「サブカル大学生」みたいなレッテルを貼られるのは小癪ですが、雑貨屋が他に無いんだから仕方ない。俺は一瞬、将来自分の好きなもので埋め尽くしたお店を開こう等と血迷った考えをよぎらせました。
 しばらく、我が愛車エーリングリーン号(ママチャリ)を疾駆させていると、次第に民家が無くなってきました。
 良い感じの殺人事件が起こりそうなペンション風マンションを通り過ぎると、何という事でしょう、70年代のラブアンドピースを感じさせる『芸術村』と表記さるる看板が現出したではありませんか!若きアーティスト達が日々気に入らない完成品をぶち抜いたり、両刀使いになったり、ナイフで耳を削ぎ落としたり、ガンジャの煙の向こうにディオニュソスの姿を見たりしているのでしょうか!と少しワクワクした俺がバカだった。「宿泊・お食事・お土産」が至る所に列挙され、送迎タクシーが行き交う始末。けっ、何が芸術だ、反吐が出る。
 少し走ると、住宅街が現われ、秘境の様な雰囲気を醸し出していました。道路にはもう完全に歩道の形跡が無くなり、たまにすれ違うのはエンジンを持った乗り物ばかり。道はいよいよ本格的に傾斜を見せ始め、もう山って言っていいような感じ。よーし、行くぞエーリングリーン号(二年選手)。
 と思ったら、耳元のイヤホンから、キングクリムゾン30周年記念盤が流れ出す。ロバート・フリップの気持ち悪い位正確でかつ爆発的なギター。ジョン・ウェットンが「とぅぇんてぃふぁーせんちゅりすきっつぉーいまぁぁぁん」と歌いだす。ふと電柱の袂を見ると、初期のデザインに近い、目の小さい野原しんのすけの手製看板が二対。「あぶない」という吹き出しを掲げているが、危ないのはお前のそのあやふやな絵柄と著作権だ。時刻は午後七時。とは思えない程の明るさ。しかし、それらに加えて続く道の鬱蒼とした雰囲気。どうして、これで不安にならずにいられようか。
 かくして、本当に何を見つけた訳でもなく、帰路に着く事になったのです。散歩オブ散歩。

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