Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2010年10月15日金曜日

本気で作りすぎると大抵ギャグになっちゃいます『ナイトアンドデイ』



ハリウッド映画はみんなから愛される一方で、一定数叩く声も存在します。
僕はハリウッド映画を見ていて、映画の中身が面白くないということではなくて、CG・VFX、セット、画面の特殊効果など凝りすぎてて、逆に白けるということがあります。
アレですよ、恋をしてる時はすごく魅力的に見えた相手のことが、いざ付き合ってみるとどうでもいいところばかり目について冷めてしまう、という割合理不尽な意見。

物事には何でもある程度の駆け引きが存在して、
押したり引いたりしないと、押すばかりではそれがどんなに良い押し方でも押されてる側からは飽きられてしまう。
というのを理解せずに、とにかくたくさん金かけろ!有名人使え!これもこれも入れた方が面白くなるんじゃね!ていう風に量産される大作映画。

どんなにいい脚本でも、「大作風」というレッテルが貼り付けられるハリウッド映画はある種可哀想とも。



ほんでこの映画の主演、トム・クルーズとキャメロン・ディアス。
ハリウッドの代名詞みたいな二人ですが、前情報なんもなしで映画を見に行った僕は、「ハイハイ、どうせ超大作アクションなんでしょ」などと洩らしながら映画館に入って行ったのですが、良い裏切られ方をしました。
この映画はアクション映画をパロったギャグ映画なのです。

観客がこうなんでしょ?この後こうなるんでしょ?と予想することを、尽く画面の二人が叶えてくれます。
この映画を作った人は、アクション映画の落としどころをよぉーく理解していて、ヒーローのヒーロー性、ヒロインのヒロイン性をきちんと入れ込んでくる。
超イケメンのトム・クルーズは沈黙シリーズのセガール並に無敵で、ブロンド美人のキャメロン・ディアスはバカで魅力的だ。というステレオタイプなイメージを、この二人はガンガン背負う。背負いまくる。
故にストーリーは何の意外性もないし、裏メッセージのようなものも見当たらない。
とことんエンターテイメントな映画です。

二人がバカをやるだけなら、大して面白くもありません。
僕はMr.ビーンが大好きで、かつてワクワクしながら彼がスパイとして大活躍する『ジョニーイングリッシュ』を見ました。最低でした。
ギャグをやろうとしたり、スパイアクションをやろうとしたりとどっちつかずで、
ギャグも全然面白くない。
映像的に優れた何かがあるわけでない。

『ナイトアンドデイ』はスパイ映画です。
トムクルーズは超スパイで、キャメロンディアスは超スイーツです。
でも本気でそれをやってるから映画が面白い。

主演が最高級なら、映像は勿論最高級。
街中をバイクで疾走するシーンがあるのですが、カメラワークも良いし、赤いバイクが綺麗な街並みを駆けていく情景は何とも言えない爽やかな美しさ。

視聴後には爽快感しか残りませんが、だからこそ「本気のエンターテイメント」と言える映画です。


後ろに座ってた女の人がものっすごい頻繁に笑ってました。
おま、こんな所まで笑うのかよ!って位それはもう、俺史上最大のお笑いキャッチャーですよ、彼女は。ええ。おかげさまで白けかけちゃったぜ。まぁ可笑しい所で笑うのは当然なんだけど、自分のテンションとギャップを感じると途端に同じものを共有してるのに排撃したくなる、という厄介な生き物だよ、人間ってやつぁ。
って思わず俺が愚痴っちゃう程、この映画を笑える人がいる面白い映画です。

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