怖さ:☆☆
造型:☆☆
状況:☆☆☆☆
「ホラーM」連載(ながら刊行は太田出版)、2026年現在、西岡兄妹唯一のホラー作品。…とはいえ、「恐怖する主体」は読者では無く主人公。総体としてはホラーというよりグランギニョル。
母の胃に受胎した「私」は、同じく受胎した兄弟達が胃の中で消化されてゆくのを見、世界を憎み・恐怖しながら、肛門より便所に産み落とされる。「私」は世界に復讐するために人生を始める。
「(英雄の)異常出生譚」とも読めますが、随所にイエスのモチーフを真反対にした要素が登場し、「アンチクリストの物語」である事が示唆されます。
血と糞便と精液に塗れた「私」の道のりは、彼を慕う12人の少年達を生み出す。「私」はその後にやって来た家出少年を犯し・殺し、「パン」宛らにその肉を少年達に切り分ける。
…とまぁ、最初に書いたように、「ホラー」として描写やイベントが存在する訳では無く、「私の歩み」そのものが意味を持つ物語。「グロテスク」を求める人にはその淡々とした様子が物足りないかもですし、「ホラー」を求める人にはその悪趣味性のみの物語が物足りないかもしれませんが、個人的には、「イエスの物語」をココまで貶められるその手腕に、惚れ惚れするところ。西岡兄妹の作品群においてはかなりエンタメ寄りな、明確な物語筋が存在する稀有な作品です。


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