Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2018年4月30日月曜日

コブリン森口 『スラッシャー』


コブリン森口 『スラッシャー』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
☆満点作品です!

色々と酷い、ゴブリン(守口・森口)先生の成年コミック。そう、これ別段ホラー漫画じゃないんです。とはいえ、先生のコミック中でも、格段にエロより怪奇と恐怖と暴力が彩る作品。

徐々に住人が悪魔に変貌し、暴力と狂気に支配されていく町。対処するためのハイパーポリスの隊員である木場は、悪魔の主軸たる「メタリオス」と闘うため、日夜、処刑人・スラッシャーに変貌するのだった。

タイトルが表す様に、ハードメタル漫画とでも表すべき、色々と異質な漫画。 
三章構成の内、敵方の不死身の存在・メタリオスがどんな歴史のうちに産まれたかを説明する三章が説明し切れずにこの本が終わる、というのもなんとも「スラッシャー」らしいとも。
で、なんでわざわざ「ホラー」として紹介するかと言いますと、
ストーリーの大筋は仮面ライダー的な、「変身ヒーローもの(イヤに敵キャラが怖い)」なのですが、
「お菓子が落ちているのかと思って女の子がよく見てみるとそれは輪切りのお肉で、お肉の飛んで来た方向を見てみるとマンションの室内で狂人が男性を肉体の端の方から輪切りにして行っていた」から始まる、「町が悪魔に支配されていく導入部」が、あまりに巧みなホラー漫画なんですよ。
悪魔(メタリオスの配下になった人間)の暴れっぷりが、ただ無目的に暴れるのではなく、悪意を以って行動していることが伝わって来るのが、恐ろしくて恐ろしくて。

「そう」なってしまう、オカルティックな状況作りや、メタルのCDジャケットじゃねぇか!とツッコミたくなるほどのキャラ造形の「まんま」さ、
そうしたパワーが魔女の鍋のごとくグツグツに煮詰められた「コレ」、
奇妙なものを追い求める同好の士に対して、こりゃー☆満点だよ!と自信を持って本作を推します。


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