Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2019年6月11日火曜日

池上遼一超絶の恐怖漫画読み切りBEST

『池上遼一超絶の恐怖漫画読み切りBEST』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


☆満点作品です!

2019年現在、おおよそ漫画家歴60年の、膨大な池上遼一作品群より、「恐怖漫画」を選りすぐったコンビニコミック。

歌舞伎の有名演目としても採択される 累ヶ淵を元にした「かさね」が、本単行本中もっともページが取られていますが、池上遼一ファン以外ならそれ以外の部分こそが本題、というべきでしょう。
収録八編中、「かさね」がオーソドックスな怪談もののコミカライズ、「土中に咲いた白い花」が平田弘史的な歴史の陰の部分を描く時代劇、「電動式義手」がややハードボイルドチックな人間ドラマ、で、それ以外の5編が表題にあるような恐怖漫画というか、「怪奇漫画」のど真ん中的作品、と言えます。

…いやぁ、池上遼一先生、山本英夫とのタッグによる『アダムとイブ』、江戸川乱歩のコミカライズ「お勢登場」、橘外男の原作作品含む『陰獣トリステサ』、それぞれにグッと来るものがあって、幻想怪奇作家的印象もあったのに、全然読んでませんでした。こんなにも「怪奇」な感覚が通っている作品達があるとは。

つげ義春のうらぶれ感を漂わせる、何とも冴えない町の、何とも冴えない宿に泊まってしまった青年、白い液体が青年の行動力を奪い、其処に留まる理由になってしまう、という「白い液体」。
脱走した三人の若武士が出会った絶世の美姫、その歴史の表に立たない雰囲気が何とも平田弘史漫画的で、かつ作品に流れる空気は泉鏡花的伝奇感の「安達ヶ原の鬼女」。
少年が助けた肉食の鳩が、それが少年少女の無垢な狂気と結び付く、ちょっとヒッチコックっぽい「狂い鳩」。
それぞれにグッと来ましたが、特に個人的に白眉!と思うのは「人面蝶」。

青年が山中で見つけた、人面の蛹を形成する群れ。その習性も怪奇なものながら、「それらを守らねばならない理由」を見つけてしまった青年の取る行動が、オチであり、非常に怪奇な作品。
扉絵含め、池上遼一の絵力の強さに、強制的にねじ伏せられる怪奇漫画です。

いやぁ、この手の「作家選集」的なコンビニコミック、大抵、ハイハイ、ベストベスト。って感じの空気感なのが多いのですが、自分があまりに「池上遼一」という存在に対して手放しだったためか、勉強になったというか、大変面白かったです。「BEST」の名に偽りなしでした。
池上遼一作品読みてぇ


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