Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2025年3月25日火曜日

内田春菊『隣人』

 


怖さ:☆☆☆
造型:☆
状況:☆

「内田春菊ホラー傑作選」と題して、漫画3篇・小説4篇と、7つの連作小説から成る「クユクユがあばれる」を収録。

表題作的な「私が何をしたっていうの」。
集合住宅に越して来た若いカップル、女と周囲の住人は挨拶を交わした程度の交わりだった筈なのに、住人からの接触はやがて嫌がらせへ、危害へと変わっていく。動機は分からない。狂気的な「カップルへの追い詰め熱」の高まり方は非常にホラーながら、その「動機の分からなさ」はダメージを喰らっていた筈の女も同化していき、ホラーとしてもイヤミスとしても非常に質の高い作品。

なお、残りの漫画2篇も、人間の普遍的なイヤさを抱えたホラーで中々厭な感じながら、小説作品は概ねイヤミス…というかほぼ露悪的な内容で、タイトルにある「ホラー傑作選」として触れるのはちょっとキビシイ感じ。

「漫画or小説に絞る」「(呪いのワンピースなんかも含めた)『ホラー傑作選』を編纂する」という位の気概は、制作サイドに見せて欲しかったところ。




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