Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2026年8月18日火曜日

とり・みき『パシパエーの宴』

怖さ:☆

造型:☆☆

状況:☆☆☆

レジェンド・アーカイブス、とり・みき短編集第2弾。

「シリアス系作品集・第1弾!」と『山の音』に銘打たれていた様に、本書もSF・ホラー系作品でまとめられています。…と言いたい所ながら、あくまで語り口部分がシリアス、という感じで、「宇宙麺」「金玉人間第1号」の様な不条理ギャグ的作品も。

とはいえ表題「パシパエーの宴」は、くだんを要素とする傑作伝奇ホラー。

とはいえとはいえ、個人的にはそれより、ある日突然頭にキツツキが棲みつく「木突憑」、ある日突然冷蔵庫になってしまった女性の自意識を描く「冷蔵(庫)人間第1号」が好み。

とはいえとはいえとはいえ、本収録作で最も好きなのは「レンタルビデオ」。撮りキチ的な主人公がたまたま入ったビデオ屋は会員制で、初回は入場を断られるも、主人公が異常家庭ビデオを撮った際に入店を許可される。 撮る人の視点の、小中千昭『稀人』的面白さと、ビデオ屋の仕組みの全体主義的不気味さ。

この「レンタルビデオ」含め、収録全般に世紀末的空気感があり、作家の時代の反映の巧さを感じますが、中でも本作は「会員達が個々に撮った映像が寄り集まる事で既存の仕組みの外の監視システムを構築している」所に、90年代の作ながら2026年現在のSNSの不気味さが既に現れており、その予言的・SF的想像力に感服します。



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