石巻市は正に「風光明媚」を絵にしたような、綺麗な海沿いの町でした。
とはいえ非常に風の強い町で、着ているものが全部飛ばされる位ならギャグでも済みますが、着ている僕自身が吹き飛ばされて海に落ちそうなほどの強風。これからの寒い時期、何があろうと無かろうと、厳しい環境になる事が予想されます。
駅周辺は何事も無いように見え、何軒か取り壊しの進んでいる家もアリはしましたが、まぁこんくらいならもうちょいで完全復活だろうな、と思わせる様子でした。
付近の高校の陸上部らしき生徒達が何往復もしていた階段。
往復するにはハードすぎる、長距離の階段でした。
けれども、海に近い、市内中心部の商店街は、震災から8ヶ月ほど経つにもかかわらず、壊滅的な景色を晒していました。
商店街に在るお店はほぼ全滅。営業しているお店はほとんど無い。
家屋の一階に、「物凄い勢いのモノ」が入り込んできた跡がそこら中に残っている。
車や人の往来のすぐ隣で、忙しなく進む解体作業。
プレハブの屋外共同浴場。
「海」が街に入り込んで来ている。
街に入り込んで来た海に沈んでいた布。何だか切ない
海岸の遊歩道だったと思わしき柵。
町の大きな観光資源であったろう、「石ノ森萬画館」。閉鎖中。
海へ続く社の道が分断され、本社だけが残った後で休む、アホウドリの群れ。
陸に乗り上げたまま、水に戻されない小型船舶。
海っぽく見えている所は、元々バスのロータリーだった場所。
こうした写真をいっぱい載せて、何も僕は悲惨だ、可哀想だ、なんて言うつもりはまったくありません。瓦礫の除去作業なんかをボランティアの方々や町の人々が懸命に行った為か、中々綺麗で不思議な景色なのです。
街をうろつきながら僕の頭に浮かんでたのは、『アイ・アム・レジェンド』『ビューティフル・ドリーマー』といった「人類滅亡モノSF」で表現されていた光景。
人工的なモノと自然物とが織り成す「文明」という景色から、すっぽり人間だけが抜け落ちた、寂しいけれども、どこか清々しさの混じる虚しさ、というか。無論、部外者だからこそ持ち得る感想なのでしょうけども。
何もこうなった事・この景色を肯定するつもりはありません。
けれどもこうした景色を他で見ることが出来ないのも事実。
人類で唯一受けた原子力爆弾の着弾点が、今では観光スポットの一つ「原爆ドーム」なんてものになっているように、被災地域がこの景色をウリにしていくのもアリでは、というのは不謹慎な考え方でしょうか。(直接体験したことは無いが、戦後・そして戦後復興の様子に非常に近似しているように思えた)
勿論、原爆ドームと同じ意味合いを持つ、という馬鹿馬鹿しい意見から言っているのではなく、「弱みは強みに成り得る」ということを言っているだけです。
で、何故僕がそんな傷口に塩を塗るような事を平気で言えるかといえば、
人間が積み上げてきたモノは簡単に消え去ってしまうけれども、同時にそれをまた積み上げ直せるのも人間の力であって、石巻市の精神は既にグイグイ積み上げを行っている力強さを感じさせたのです。
「楽しさいっぱい」って何かと思ったらピンク映画館かよ!!
顔の下には、日本語でこう書かれています。
「スウェーデンの笑顔!東北人へ (Kristoffer から)」 ・・・誰だよ!!(ひょっとして有名人なのか?)
先述の萬画館の壁に貼ってあった写真。藤岡弘、ドヤ顔過ぎんだろ!!(結構沢山寄付されてましたよね?ごめんなさい)
シェパードと癒しの時間が過ごせる、ドッグカフェ。(俺はすっごい犬好きだし、可愛いシェパードが店内からこっちを見てる姿にキュンとしたので、写真を撮ったまでだよ!)
石ノ森章太郎キャラのモニュメントが店前に置いてあるにもかかわらず、正面切って青山剛昌キャラをけしかける、アクティヴな学生服屋さん。
まぁなんというか、変なまとめですが、いつも笑うことを忘れない人間は強い。と思いました。
「ナンセンス」で在り続けられれば、強い。
➼ 私達もまた、ねこになるしかないのだ『ねこだらけ』
自分を信じ続けられれば、強い。
➼決して消えない光がある『正義隊』
どちらも衝撃を忘れない内に抑えておきたい作品。
守田敏也@京都です。
返信削除みんなとてもいい写真ですね。あなたの目に映った世界の、「切り取り方」がいいのだと思います。お涙頂戴ではなく、再生しつつある町の息吹に共感しているあなたに、共感しました!素敵な写真をありがとうございます!!
きっかけとなった守田さんご本人からのコメント、大変嬉しく思います!
返信削除今回観に行ってみた事で、やはり以前よりも自分の中での「興味」が膨らみました。
少しずつ、支援活動にも目を向けていこうと思います。