Subbacultcha
「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。
2010年9月4日土曜日
愛とそれを取り囲む環境と罪『人を好きになって何が悪い。』
バイト明けから、頭蓋の中から何かが生まれようとしてるんじゃないかと思うほど、くっ、俺の中の暗黒魔竜が目覚めようとしている…触るなぁっ!状態に陥り、ベッドに突っ伏す事およそ10時間、あぁやはり深夜は人間が活動する時間ではない、と思い知りました。寝たら大抵の事が回復する、生物の体は偉大です。
ちょっと気になっていた、京都ロマンポップという劇団の第十回公演『人を好きになって何が悪い。』がUSTREAMで配信されるという事で、土曜19:00は家に居るぜ、と心に決めていたのですが、前述の様な事情により、目が覚めると辺りは既に暗く、19:36。お昼も食べず寝ていたものですから、よし、ご飯の準備をしよう、等ととち狂い、ようやく見始めたのは八時に差しかかる頃。一時間過ぎて見始めるとかもう訳分からんだろと劇団に対する冒涜的な思いを孕みつつ、見始めるとのめり込んでしまいました。
舞台は紛争中のマケドニア。セルビア人司教の娘・カロリナは敵対するアルバニアの少女テューナに恋してしまう。宗教対立と同性愛という二重の禁忌を踏み越えた為にカロリナは宗教裁判にかけられる。国際弁護士・チェットはカロリナを救う為奮闘するが、テロリストがそれを邪魔してカロリナを殺そうとする。
というような事が宣伝ビラに書いてあったので、何とか理解。カロリナとテューナが使う魔術みたいなものが最後までよく分りませんでしたが、タイトルにもある通り、主題は「愛」。そんなのはささいなことです。
宗教・民族間対立と同性愛というものが主軸にあるので、解釈の戦いによって物語は進んでいきます。何故カロリナは裁判にかけられなくてはならないのか。聖書をどう読むべきか。人を好きになるとは何なのか。大きな対立のようで一つ一つの戦いは一対一のぶつかり合い。役者さん同士のぶつかり合いが非常に熱くて生々しい。
また、キャストが30人という事で舞台の上に出来上がる人の波は圧巻です。一人の人間が立ち向かうのに、余りに大きく、強い力。舞台上に二人だけの時と、フル出場時のギャップが印象深いです。
それぞれの問題を丁寧に解きほぐし、一つの言葉の意味に終始する。
世界中の色んな所に満ち溢れている騒音と、二人の人間の間に存在する思いの静けさが同時に現出している非常に面白い劇でした。
当日券は2000円でしたが、キャストに本気のしっぺを喰らえば喰らうほど安くなる、という五部のノトーリアスBIGのような割引制度が用意してあるみたいなので、痛みに耐性がある、もしくは喜びに変わる、といった方々はハイクオリティな演劇が安価に楽しめるのでお勧めしておきます。
京都ロマンポップ
http://romanpop.daa.jp/next.html
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