Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2010年9月17日金曜日

リアル摩り減り系『マシニスト』


リベリオン、バットマンなんかで有名なクリスチャン・ベールが役作りの為に激痩せして話題になったサイコスリラー。
4か月で30キロ落として、その後の4か月で45キロ増量とか仕事にまじめな人は恐ろしいな…



クリスチャン・ベール演じる主人公、トレヴァー・レズニックはもう一年間不眠症のせいで寝てない。
何でそんな不眠症になったのか?
トレヴァーの前に現れる誰の目にも映らないアイバンは何者?
冷蔵庫に貼られているメモはどういう意味?
といった謎が提示され、主人公が謎を解き明かしていく物語です。

最初に主人公を見た時点で絶句です。
こんな痩せ細った人間が「実際に」映画に出ているのか?
CGとか作りモノとかなんかよく分らんけどそういう高度な何かじゃないの?と思ってしまうほど、トレヴァーは痛々しくガリガリで嘘臭い。
その人間自身で既に何かの物語を形成してしまっているのです。実際に摩り減ってるにもかかわらず、映画の内容自体も陰鬱なすり減らし系。

もう十分苦しげな様子を呈しているのに、ストーリーが進む毎に精神も肉体もより追い詰められていく主人公。
気味の悪い映画ということで中々スポンサーが付かなかったそうですが、納得です。
昨日焼き肉喰ってそのまま寝てしまった友人に朝一で話しかけられる様な、ぶんぶん唸ってた蚊が耳の中に入って出てこなくなる様な、何とも言えぬいやーな視聴後感。
この手の映画にありがちな不条理オチじゃなくて、きちんとした結末のせいかも。人によってはそこそこ読める位の割合弱めのオチ。

「お前頭おかしいんじゃねぇの?」と周りの人々からどんどん見放されていく主人公。
世界がおかしいんだと頑なに信じ込む主人公。明らかに主人公がおかしいとしか思えない観客。
最初から最後までおかしいのは主人公だけで、そこに主人公が気付いてないせいでじくじくと少しずつ嫌な感じが強まっていき、ようやくのラストでもなんだか終わった事に対してホッとするような体験でした。

作っている人達全員の本気具合というか、頭おかしいんじゃねぇの?具合ががっしり伝わってくる映画でしたが、そのせいかあまり爽快感や納得感が無くて、もう一度はちょっと見たくない映画。そういう路線を狙ってるらしいのですが。
とりあえず痩せたい人は四カ月位、毎日ツナ缶一個とリンゴ一個で過ごせばいいだけの話だと思う!

余談。ヒロインっぽい女の人が二人出てくるのですが、二人ともその役であることの必然性が高くて、タイプは違うけどどっちも非常にイイ女。いい女優さんです。鬱展開に耐えられない人は主人公の立ち位置にリンクしてギャルゲチックに楽しめばいいと思う!



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