動物は火を恐れるように、人間は闇を恐れます。
でも人間は「知恵」という非常に下らんモノを持っている馬鹿なので、
やめときゃいいのに、怖いのに、何故か覗きたがるのです。
「ASA-CHAN&巡礼」を聴いた人は、国籍問わず、まず不安を感じるのではないでしょうか。
原始的かつ感情的なパーカッション、単調で短調に繰り返される抒情的なメロディライン、ルーパーなんかで加工された機械音と生声の中間のようなボーカル。
特に「声」が痛ましいのです。
精神的に追い詰められた人間が、ショックのあまり繰り返すうわ言のような。
切迫して美しい神経症的な詩と、変調じみた今にも止まりそうなリズム。
人形を人間に似せれば似せるほどそこに人は親近感を見出すそうですが、
本当に「人」みたいになる瞬間と、「人」との中間に存在する、「人とも人形ともつかない部分」。
其処は生理的嫌悪感の生まれる部分、グラフで描くと丁度落ち込むようになっている所から、「不気味の谷」と呼ばれます。
そうした人とも人形ともつかない感じが、リズムと詩とコーラスによって描かれているのがASA-CHANGの世界です。
怖い。
何か見ていけない、聴いてはいけないモノを聴いてしまったような不安感。
一度聴くと、喰われます。
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