Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2011年3月20日日曜日

笑ってしまいそうな真実『読書について』


最近、本を読む時間が無いなー、なんて思ってます。
就職している人に比べれば圧倒的に時間が有り余っている筈なのですが、
どうにも「やりたい事」と「やるべき事」が合致しにくいスケジュールなんですよね。

全然関係ないですが、『STARDRIVER~輝きのタクト~』はこのやりたい事とやるべき事が重なる事で、無敵のリビドーを得た主人公が、恐ろしいほどご都合主義に敵を倒していく学園ロボットアニメです。素晴らしい爽快感溢れる馬鹿アニメなので、普段心労の多い方にお勧めしたい。

本筋に戻ります。だから速読法を体得しようとしてみたり、先人の読書術を学んでみたり。

ヒトラーをして、「20世紀最大の精神を持つ偉人」と言わしめた、
天才・ショーペンハウエルの読書にまつわる三篇の小品。


『思索』
まず、彼の読書についての骨子にあたる部分。
そもそも読書というのは、他人の思想の押し付けに過ぎず、いくら数を読破しても無意味である。
他人から借りて来たものばかりで出来上がった才人、これを「学者」という。
真の思想は、自分の内側からしか生まれず、読書とは素材に過ぎない。

じゃあ、その内側からどうやって生みだすの?という部分に、才能が関わって来る訳です。
「世界」という一次資料は、本も含めた素材と機会をくれるのみ。
そこをきちんと読み取る、即ち世界を読み取った者こそが真の「思想家」であり、「天才」なのです。

で、その「思索」、思い巡らすということが、一般人にはいくら考えても何かが生まれて来るもんでもないし、知識・経験量を上手く「真理」として吸収出来ないなら、いくら読書しても無意味。
つーか全ての経験が無意味。

その後も
「読書は思索の代用品」
「他読は自分で考える事をどんどん失わせる」
「学者は読書に呑み込まれた馬鹿」
「論争中に権威を持ち出してくる奴は馬鹿」

という感じで、読書をディスりまくり、
果たしてこんな調子で表題に行きつけるのか?と読者をドキドキさせておいて、次。


『著作と文体』
三篇の中で最大量を誇る論文。と同時に、最もどうでもいい論。
「勝手に俺の本とかいわゆる名著とか引用に使うなボケ!引用するからにはちゃんと理解して最適な使い方しろカス!あぁ!?つかそんないっぺんに二個も三個も同時に考えられる訳ねぇだろ!一つの文章の中で何個も主張すんな!2ch?ざけんな!自分の正体きちんと晒せやオイ!
・・・いや、落ち着け落ち着け、クールになろう」
というような事が書いてあります。意訳し過ぎですが、大まかにさらうとこんな感じ。
そして表題論文へ。


『読書について』
いわゆるインテリ層の方々、ほんとはその本、読んでないんじゃないですか?
題名だけ知ってる状態で色々語ってませんか?
何かたくさん本読んだ事がステータスになっちゃったりしてないですか?

ドキっとさせられます。

本に限らず、全ての「情報」はどんどん劣化・風化していきます。
ショーペンさんが言うには、大体今出てる本なんて、五年もすりゃどーでもいい本になってるよ、との事。彼の活躍は1800年代なので、今だと半年から一年位の周期かもしれません。
そういう「作者が暮らしていく為」に書かれた本は、どーでもいい事しか書かれてない。そんな本は山ほど出版されている。でも、時間は、人生は限られている。だから、本を選んで読まなくてはならない。
なるほど。読書術らしくなって来ました。
さて、彼の「読書術」とは?

「良書を読む為の条件とは、悪書を読まぬ事である」


ずこー。
それは恐ろしいほど精度の高い、事実・真実です。

彼にとっての良書とは時の流れに負けぬ、「名著」と言われる類のもの。
先人の言葉を引用し、「努めて古人を読むべし」としています。
限られた時間・限られた力を、他読ではなく
「良書を反復して読む為のエネルギーとして使え」
これがこの論の主張の様です。

本当に彼は頭の良い人だったのでしょう。
某SFロボットアニメのヒロインではないですが、
彼が周りの人を見渡し「バカばっか」と呟く姿が目に浮かびます。

しかし、僕は彼の言う「バカ」でも別に構わないなぁとも思います。
別段、僕にとって必ずしも人生とは成功しなくてはならないものではないからです。
いや、というか僕にとっての成功が「楽しみの為の読書の時間を持てること」なので、
どうしても彼の意見に全面肯定という立場ではないんですよね。

ただ、下らないビジネス書・自己啓発書を百冊読んで「読書家」を名乗る様な人には、
まずそうした「読書」を始める前にこの本を読んで、改めて読書とは何か、を考えてみて欲しい所。
この本は、彼の言う所の「良書」の一つですから。

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