川島のりかず『みんな死んじまえ!(呪いの針地獄)』
怖さ:☆☆
造型:☆☆
状況:☆☆
個人的には、昭和ホラーを買い始め、川島のりかず『化けもの赤ちゃん』に出会い、面白そうな作家だな、とおそらく2冊目辺りに買った作品。
『呪いの針地獄』が元々のタイトルで、そちらの方が内容を的確に捉えていますが、どうですこの下品なまでのストレートなタイトル具合。好き。
体が小さく、引っ込み思案の菊子はいじめられていた。最初こそ仲間に入れてもらえる努力をしていたが、次第に憎しみと機会が重なり、菊子はブーズー(ブードゥー)教の呪いに手を出し始める。「呪いによる死」がつまり「針地獄」。
序盤、20ページくらい台詞なく、畦道が描かれるのだけど、其処が何とも叙情的な美しさがあって好き。その後の描写とのテンションの差が凄い。
「フランケン」「生血」の様なひねり具合、「中殺」「影は殺人鬼」の様な果てなき残虐描写、といった、「川島のりかず作品特有の派手さ」はあまり無いのですが、この作品中における静けさは、何とも日本の漫画的で、個人的にはとても心に残ります。
暴力性や突拍子の無さという「スカム感」が注目されがちな作家ですが、
川島のりかず作品は「テンションの差」にこそ魅力があると思わせてくれる作品。
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